研究課題/領域番号 |
23K03122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
梶ヶ谷 徹 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (20749361)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 一般化ラグランジュ平均曲率流 / 極小ラグランジュ部分多様体 / Curve shortening flow / ラグランジュ平均曲率流 / 余随伴軌道 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで、ケーラー・アインシュタイン多様体内の極小ラグランジュ部分多様体に関する研究は、ラグランジュ平均曲率流やハミルトン体積最小性問題などの文脈で数多くの興味深い成果を生み出してきた。一方で、この「ケーラー・アインシュタイン」という仮定は、対象が限定的であると言うことがしばしば指摘されている。 本研究では、これまでの極小ラグランジュ部分多様体に関する理論を拡張し、ケーラー・アインシュタインとは限らないシンプレクティック多様体内の「極小」ラグランジュ部分多様体の微分幾何を展開することを目指す。
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研究実績の概要 |
主に次の研究を進めた. (1) アインシュタイン接続と呼ばれる特別な接続を許容する、概ケーラー多様体上で定義される一般化されたラグランジュ平均曲率流の基本的な性質について議論を進めた。今年度までの議論により、まず完全な平均曲率形式を持つ任意の初期ラグランジュ部分多様体がその完全性を保つことを証明することができた。これにより、ケーラーアインシュタインの場合と同様に一般化ラグランジュ平均曲率流もまたハミルトン変形を生成することが従う。 また、一般化された意味での極小ラグランジュ部分多様体の新しい例を(ケーラー構造を必ずしも許容しない)ある可解多様体の中で見つけることができた。 一方で、平均曲率流の収束については新たな問題が生じることも徐々に分かってきた。 (2) 余等質性1のラグランジュ平均曲率流の収束について研究を行った。以前の自身の結果により、リッチ曲率正のケーラーアインシュタイン多様体内の余等質性1のラグランジュ平均曲率流は、曲面上の「一般化された」ラグランジュ平均曲率流に帰着することに気づいていたが、そのような状況におけるラグランジュ平均曲率流の振る舞いを議論するため、同様の研究を行っていたAlbert Wood氏(King's College London)を招聘し、Wood氏とともに議論を進めた。結果として、オービフォールド上での重み付きcurve shortening flow(CSF)を精査する必要性と現時点での問題点が明確となった。 以上の他、前年度以前に行っていた部分多様体の安定性に関する研究から発生したいくつかの問題についても研究を行った。また、研究成果をいくつかの研究集会で報告し、多くの研究者と有意義な議論を行うこともできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラグランジュ平均曲率流の専門家であるWood氏を招聘したことにより、以前から考えていた余等質性1のラグランジュ平均曲率流について大きな進展があった。また関連して平均曲率流に関する多くの知識を享受できたのも大きな収穫であった。一方で、一般化ラグランジュ平均曲率流の収束に関して、当初想定していた解決方策における様々な問題点もまた明らかとなり、この点をクリアしていくことが今後の課題として残った。 また、部分多様体の安定性に関する問題を考えたことにより、今後必要となり得る余随伴軌道の幾何学についても多くのことを調査でき、効率よく研究を進められていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
一般化ラグランジュ平均曲率流の収束定理について、当初考えていた方法では困難が伴うことが分かってきたため、別の方法で収束定理を導けないかを考えていく。すでに先行研究の中では、その困難さをある程度回避できているため、先行研究を今一度精査し、その一般化が可能であるかどうかなど検討をしていく。 また、今年度の研究で発見した例を基に、アインシュタイン接続を許容するシンプレクティック多様体の具体例や一般化された意味での極小ラグランジュ部分多様体の自然な具体例を群作用を用いて構成できるか考える。 余等質性1のラグランジュ平均曲率流については、引き続きWood氏と協力して、オービフォールド上の(重み付き)CSFの振る舞いについて、曲面上のCSFの結果を参考にしながら研究を進めていく。
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