研究課題/領域番号 |
23K03124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
稲葉 和正 岡山理科大学, 理学部, 講師 (70850048)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ミルナー束 / 特異点論 / 位相幾何学 |
研究開始時の研究の概要 |
実解析的写像の孤立特異点が定める絡み目のホモトピー類は、全てのファイバー絡み目のホモトピー類を実現することを申請者は示している。そのため特異点の定めるMilnor束は、一般のオープン・ブック分解の構成への応用が期待される。 本研究では、与えられたMilnor束から高次元のMilnor束の構成を行う。また、特異点の変形によるMilnor束のハンドル分解を用いてモノドロミーの分解を行い、ファイバー束構造と両立する幾何構造の解明を進める。 本研究で研究する解析的写像の性質を利用することで、ファイバー絡み目の性質が特異点を含むファイバーや、特異値集合によって組み合わせ的に記述可能になると考える。
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研究実績の概要 |
実解析的写像の特異点の近傍上のファイバー束の存在および、そのファイバー束のファイバーのホモトピー型やモノドロミーのゼータ関数に関して研究を行った。正則関数の特異点とは異なり、実解析的写像の特異点が常にミルナー束をもつとは限らないが、強義非退化な混合関数の特異点はミルナー束をもつことが知られている。ここでミルナー束とは特異点の近傍上に定まる円周上の局所自明なファイバー束のことである。また、混合関数とは複素変数とその複素共役で定義される複素数地関数である。 この結果をより一般の実解析的特異点に拡張するため、強義非退化とは限らない一般化されたトム・セバスチャン型特異点のミルナー束の存在および、そのファイバーのホモトピー型やモノドロミーのゼータ関数を計算した。 また、超曲面では得られない特異点の近傍のトポロジーを研究するために、複素解析的写像と同様に実解析的写像に対しても完全交叉型の特異点を考察した。強義非退化を仮定することで、完全交叉型強義非退化な混合関数の特異点の近傍が円周上の局所自明なファイバー束になることを示した。通常のミルナー束は球面上のオープンブック分解を定めることが知られており、ミルナー束と両立する接触構造の存在も知られている。今回の結果から球面とは異なる多様体のオープンブック分解のファイバーや境界に現れる絡み目および、モノドロミーを特異点の手法を用いて考察できることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
完全交叉型強義非退化な混合関数の特異点の近傍が円周上の局所自明なファイバー束になることを示したことにより、球面以外の多様体にも特異点を用いてオープンブック分解を構成できるようになった。このことから特異点論の手法を用いて球面とは限らない多様体のオープンブック分解を考察できる。現在はこのようなオープンブック分解のファイバーやモノドロミーの研究を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
超曲面型の強義非退化混合関数の特異点と同様にニュートン図形から決まるトーリック改変および、実ブローアップを用いて完全交叉型強義非退化な混合関数の特異点の解消ができることを示す。この特異点の解消が出来ればミルナー束を特異点解消で決まる例外因子の近傍ごとに分解することができ、その分解から決まるモノドロミーの分解を調べることで、モノドロミーのゼータ関数を計算する。
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