研究課題/領域番号 |
23K03137
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
筧 三郎 立教大学, 理学部, 教授 (60318798)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 可積分系 / 特殊関数 / 数理物理学 / ソリトン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,可積分系の研究において導入された “KP 階層” と呼ばれる非線形偏微分方程式の階層,及びそれに付随して定義される “タウ関数” について,新たな拡張の方向を探る。さらに,拡張した階層から得られる新たな応用の可能性を,分野横断的に探求することを目的とする。まずはD型の対称性を持つ階層,および離散変数を持つ階層という,研究代表者が十分な研究経験を持つ題材から出発して,更なる拡張を試みる。応用の対象としては,微分幾何学における曲線・曲面論,リー代数・量子群の表現論などといった数学内での応用にとどまらず,物理学における流体モデル,確率モデルに対しても取り扱っていく。
|
研究実績の概要 |
本研究では,可積分系の研究において導入された “KP 階層” と呼ばれる非線形偏微分方程式の階層,及びそれに付随して定義される “タウ関数” について,新たな拡張の方向を探ることを目的としている。本年度は,KP階層の楕円関数解を背景とするクラスの特殊解を中心に研究を行い,いくつかの成果が得られている。(1) Li と Zhang の論文にあるクラスの "楕円ソリトン解" に対して,KP階層に対するダルブー変換の理論を適用することで再構成を行なった。その結果,Li-Zhang の結果はKP階層全体に対する特殊解を与えていることが証明された。(2) 上記の結果の出発点となっている楕円関数解は,従来の意味では "2-簡約" の条件を満たしていないが,KdV階層の解となっている。この状況を記述するために "弱2-簡約" という概念を導入し,その場合,適当な変数変換を導入することで,通常の意味での "2-簡約" の条件を満たすLax作用素を構成できることを示した(野海正俊氏(立教大学)との共同研究)。これらの結果については口頭発表を行なっており,最終的な論文の形にまとめているところである。 また,ソリトン理論の出発点であった流体力学との関係について,沢田陽宏氏(立教大学大学院生)と共同研究を行い,表面張力重力波に現れる可積分系の研究を行なった。こちらについても,現在論文にまとめているところである。こちらの話題においても,上述のような楕円関数を背景とする解を考察する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の初年度である本年度は,計画の中でも流体力学モデルと関係のある KdV 方程式,KP方程式,および表面張力重力波と関連する方程式を中心に研究し,一定の成果が得られている。論文の形にまとめることまでは年度内にはできていないが,近日中に数編の論文を仕上げる予定であり,おおむね順調であると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の方針として,まずは得られている結果を論文にまとめることに注力する。その後の方向としては,いくつかの研究を計画している。(1) 本年度に得られた結果を多成分KP階層に一般化し,関連する物理モデルについて,楕円関数を背景場とする特殊解を構成する。(2) 楕円関数を超えて,超楕円曲線と関連する場合について,どこまで具体的に記述できるかを追求する。(3) 対応する離散可積分系を研究する。 これらの研究を遂行するにあたっては,研究協力者のみならず,国内外の専門家と活発に議論しつつ進めていく予定である。
|