研究課題/領域番号 |
23K03141
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
和田 州平 木更津工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (00249757)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 量子遠近法写像 / 対数平均 / 作用素エントロピー / 同時凸性 / 冪単調性 |
研究開始時の研究の概要 |
量子遠近法写像とは,Hilbert空間上の正作用素について遠近法を用いて定義された2変数関数を指す.この関数の振る舞いや安定性を理解するための,最も基本的な手法の1つが,冪単調性の考察である.冪単調性は,変数である2つの正作用素の冪演算に対して,量子遠近法写像の出力がどのように変化するかを示す性質で, 作用素不等式として表現できる.本研究では,未だ十分開拓されていないJCOPに関する作用素不等式を導出し,JCOPの冪単調性を明らかにする.
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研究実績の概要 |
Hilbert空間上の正作用素について遠近法を用いて定義された2変数関数を量子遠近法と呼ぶ。本研究の目的は量子遠近法写像の性質を明確にすることである。今年度は「対数平均の一般化」を念頭にして、そこから得られる量子遠近法写像について考察した。一般化された対数平均として最初に考察したのは、量子情報理論や熱力学などでも登場する関数で、一般化対数関数の比として定義される一般化対数平均である。筆者はこの関数の振る舞いについて調査し、さらにそれを踏まえて、この関数から得られた量子遠近法写像の不等式について考察した。この考察によって、Tsallis 相対作用素エントロピーに関する知見を得ることができた。さらに幾何学的な観点から重要となる正作用素の2種類のメトリックについての知見も得られた。 筆者が次に考察したのは、作用素幾何平均のアベレージとして定義された一般化対数平均の振る舞いである。得られた結果のうち、特に重要なものとしては、ベータ関数を用いて[0,1]区間上の正測度を定義し、これによってアベレージを定義した場合の一般化対数平均関数の動きである。この結果により、従来未解決であった、「自然な形での、重み付き対数平均の定義」に関する試案を提供できたと思われる。 2種類の「一般化対数平均」について上で述べたが、両者が一致する場合はまれであろうと容易に予想できる。筆者は、両者が一致するための必要十分条件を明確にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的では、同時凸となる量子遠近法写像についての考察が必要となるが、今年度は対象とした量子遠近法写像の性質及びその応用に注力したため、同時凸性については時間切れとなった感があった。しかしながら、今年度の研究をまとめた結果が査読付き論文誌に掲載決定しており、一定の評価は得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は同時凸性に焦点を当てた考察を行いたいと考えている。
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