配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は, これまでの研究で定式化した「軌道データ」を用いて有理曲面上の力学系を統一的に記述すること, 及び, 「貼り合せ構成」を用いて K3 曲面上の力学系を大域的に解析することである. 具体的には, 次の4項目に関する研究を遂行していく: (a) 軌道データを用いて有理曲面上の力学系を統一的に記述する (b) 有理曲面上の力学系とエントロピーとの関係を研究する (c) 正則管状近傍を具体的に記述する (d) K3 曲面上の力学系を大域的に解析する.
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研究実績の概要 |
本研究の主な研究目的は, 有理曲面を用いてK3曲面上の力学系を研究すること, そして, 有理曲面自身における力学系を研究することである. 今年度は, 昨年度から数値実験により考察していた, 有理曲面における双有理写像による力学系の力学系的次数を介した研究に関して研究成果をあげた. 力学系的次数は力学系の複雑さを表す量であるが, この力学系的次数全体の構造は, Thurston により示された3次元双曲多様体の体積全体の構造と同じであること, つまり, 同じ順序数の型であることを示した. また, 3次元双曲多様体における体積の集積点は尖点をもつコンパクトではない双曲多様体に対応しているが, 有理曲面上の力学系における力学系的次数の集積点は非自明な不確定点集合を許容する双正則ではない双有理写像に対応していることを示し, 各力学系的次数をもつ適当なクラスの元は共役類を除いて有限であることを示すことに成功した. さらに, このクラスの元の共役類からその力学系的次数への写像は局所有限であることも予想しているが, この問題については現在研究を進めている. 本研究内容について, 東京大学における複素解析幾何セミナーと京都大学における力学系セミナーの他, 大阪公立大学, 岡山大学, 佐賀大学における研究集会, そして海外では, Sorbonne University における研究集会「French-Japanese Workshop of Real and Complex Dynamics」にて講演を行った. 現在, 本研究内容に関して論文として執筆中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主な研究目的は複素曲面上の力学系を研究することである. 今年度は, 昨年度から数値実験により考察していた, 有理曲面における双有理写像による力学系の力学系的次数を介した研究に関して研究成果をあげることができた. また, K3曲面への応用も見据えた計算もいくつか行うこともできた. よって,おおむね順調に進展していると結論づけた.
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今後の研究の推進方策 |
今後はまずこれまでに成果を研究に関して論文にまとめるとともに, 関連した予想問題について研究を進めていく. また, 有理曲面を用いたK3曲面上の力学系の研究についても進めていくつもありである. そのためには, 今後も対面による研究打ち合わせも積極的に行うことで, 研究を進めていきたい.
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