三角函数の自然な一般化として楕円函数があるが, 同じ方向への一般化として Abel 函数と呼ばれる多変数の多重周期函数がある. 三角函数を理解するのには指数函数 exp(u) を理解することが重要である様に, 楕円函数において Weierstrass の sigma 函数が同様の役割を果たす. さらに Abel 函数論においては, (多変数の) sigma 函数が重要なのであるが, その性質は十分に解明されたとはいひ難い. 本研究はこの多変数 sigma 函数を線形偏微分方程式系の解として特徴づけるといふもので, Weierstrass 以来, 懸案になつてゐる未構築の理論なのである.
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