研究課題/領域番号 |
23K03158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
江崎 翔太 福岡大学, 理学部, 助教 (40784533)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 長距離相互作用粒子系 / 非エルミート行列値ブラウン運動 / オーバーラップ行列 / Gromovのピラミッド / 測度距離幾何学 / 一般化コーシー分布 / tamed Dirichlet space / 長距離相互作用無限粒子系 / 飛躍型 / 極限定理 / ディリクレ形式 / KPZ普遍性 |
研究開始時の研究の概要 |
ランダム行列の固有値の極限で観測される、対数ポテンシャルを干渉ポテンシャルとする長距離相互作用無限粒子系が近年盛んに研究されている。この系に対応する動的モデルは、統計物理に由来するKardar-Parisi-Zhang(KPZ)普遍性と関連する。本研究では長距離相互作用飛躍型無限粒子系に対して、確率論の根源的課題である長時間挙動に対応した、「Ginibre 干渉安定過程系のタグ付け粒子」と「格子上の長距離相互作用系全体のスケーリング極限」に関する極限定理を示し、KPZ普遍性との関わりを示すことを目標とする。
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研究実績の概要 |
今年度は、エルミート行列値ブラウン運動(HBM)と、各成分が独立な複素ブラウン運動で与えられる非エルミート行列値ブラウン運動(nHBM)の補完である1パラメータ付き行列値過程に対する固有値・固有ベクトル過程について研究した。この固有値過程は長距離相互作用系であり、一般にDyson模型のような特異なドリフト項をもつ確率微分方程式の解として表現されることを示した。また、その確率微分方程式は上述のパラメータを用いて記述され、パラメータをある値とすることにより、従来知られていたHBM、nHBMの固有値過程と両立的であることを示した。さらに、付随するオーバーラップ行列の各成分が従う確率微分方程式を与え、固有値の経験分布過程等が従う確率偏微分方程式を導出した。本研究は、香取眞理氏(中央大学)と藪奥哲史氏(北九州高専)と共同で実施した研究であり、現在論文投稿準備中である。強干渉飛躍系への測度距離幾何学的研究を目標に、数川大輔氏(九州大学)、三石史人氏(福岡大学)と共同で測度距離空間と集中現象に関して研究した。まず、Gromovの意味でのピラミッドに対する不変量を研究し、仮想的無限次元ガウス空間と仮想的無限次元立方体の区別を行った。この成果をまとめた論文が Advances in Mathematics に掲載された。また、一般化コーシー分布の、次元を無限大に発散させる極限に付随する集中現象を研究した。この成果は論文としてまとめられ、現在投稿準備中である。さらに、桑江一洋氏(福岡大学)とZi Jian Xu氏(福岡大学)と共同で、超関数的なリッチ曲率の下限によるtamed Dirichlet spaceに対するLittlewood-Paley-Steinの不等式の確立とRiesz変換の有界性について研究した。本成果は2つの論文としてまとめられ、現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である「Ginibre 干渉安定過程系のタグ付け粒子」と「格子上の長距離相互作用系全体のスケーリング極限」に関する極限定理に対しての直接的進展を与えることはできていないが、関連研究である、ランダム行列理論、測度距離幾何学、tamed Dirichlet spaceに関連する確率解析学の研究それぞれに対して進展を与え、論文としてまとめることができたため、順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は今年度得た研究結果と指針をもとに、当初の目的である「Ginibre 干渉安定過程系のタグ付け粒子」と「格子上の長距離相互作用系全体のスケーリング極限」に関する極限定理の研究を進める。タグ付け粒子の極限定理に関しては、Ginibre干渉ブラウン粒子系の結果が詳細に進められている現状があるため、その理論を応用できるかについて考察する。また、測度距離幾何学の方面から、格子上の長距離相互作用系全体のスケーリング極限を求めることも検討する。さらに、今年度に引き続いてランダム行列理論、測度距離幾何学、tamed Dirichlet spaceに関連する確率解析学の研究それぞれについて、さらに研究を進める。
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