| 研究課題/領域番号 |
23K03168
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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| 研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
北 直泰 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70336056)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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| キーワード | 消散型非線形シュレーディンガー方程式 / 解の減衰評価 / 解の漸近挙動 / 非線型シュレーディンガー方程式 / 2乗ノルムの減衰 / 一様ノルムの減衰 / 解の爆発 |
| 研究開始時の研究の概要 |
①非線形消散項と②非線形増幅項を含むシュレーディンガー方程式について、解の挙動を明らかにする。この研究は一部、光ファイバー工学との関わりがある。①非線形消散項を含む場合、解の減衰評価と漸近挙動を求めることが主目的になる。(特に大きな初期データで解の減衰オーダーを特定することに興味がある。)②非線形増幅項を含む場合、有限時刻で爆発する解を構成することが主目的になる。(特に小さな初期データで爆発解を構成することに興味がある。)①と②について、既存の結果がいくつか知られている。しかし、初期データおよび非線形項の係数やベキに制約がついているので、これらの条件を緩めたい。
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| 研究実績の概要 |
令和6年度の研究実績内容は2つの項目に分かれる。【第1項目】消散型非線形シュレーディンガー方程式 (dNLS) の解の L^2 ノルムや L^∞ ノルムの減衰オーダーの最適性に関する結果を得た。詳細を述べると,データが H^1 かつ1次の重みを付けても L^2 に属する場合、t→∞ において解の L^2 ノルムの最適な減衰オーダーは O(t^{-d}), L^∞ ノルムの最適な減衰オーダーは O(t^{-(d+n/2)}) であることを示した。ここで,d=1/(p-1)-n/2 で,非線形項のベキ p は p < 1 + 2/n (n は空間次元)とする。「最適オーダー」の意味は,もし解の L^2 (L^∞) ノルムが t→∞ において t^{-d} (t^{-(d+n/2)}) よりも早く減衰したら,自明解 u=0 に限られる…ということ。【第2項目】dNLSについて,初期データの正則性を上げると,解の L^2 減衰オーダーが大きくなることを示した。具体的には,初期データを H^2 かつ H^{0,2} に属すると,t→∞ における解の L^2 ノルムの減衰オーダーが O(4d/(n+4)) になることを示した。この減衰オーダーは Hayashi-Li-Naumkin (2016)の結果よりも大きな減衰オーダーになっている。この結果を物理的に説明すると以下のとおり。まず、波の高さの減衰は L^∞ 減衰オーダー O(t^{-(d+n/2)}) であることを抑えておく。したがって,解の L^2 減衰オーダーに影響を与えるものは,波の空間方向への「広がり速度」となる。シュレーディンガー方程式にはラプラシアンによる分散効果があるが,これは波の振動数が大きくなると伝搬速度が速まる効果である。データの正則性を高めると,波の伝搬速度が遅くなり,解の L^2 減衰オーダーが良くなる。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究によって,「増幅項を持たない消散型非線形シュレーディンガー方程式」の解の減衰に関する研究は,若干の未解決問題を残しつつも,あらかた方終焉を迎えたように思われる。研究がおおむね順調に進展している理由として,令和5年度および6年度に研究代表者が所属する機関に学術振興会特別研究員が在籍していたことが挙げられる。研究代表者と即別研究員との打ち合わせで編み出された技法を特別研究員が即刻,論文化する体制は研究遂行を促進する重要な要因になった。加えて,研究代表者が指導中の博士後期課程学生が育ってきたことも研究遂行の際に追い風になったように思われる。しかも,この学生は留学生であるため,英語の能力が高く,自身の研究内容を深めるために,研究代表者が執筆した論文草稿の英文校正を積極的に担当してくれた。以上のように,最近は研究代表者の周囲に人材が集まっている状況が研究遂行上,推進力を与えてくれたようだ。次は,増幅項を有する消散型非線形シュレーディンガー方程式の解の漸近挙動に関する研究に取り組みたい。この研究は、現在実用かされている増幅効果をもつ光ダイバー内を伝搬する信号の騎乗変化を捉えようとするものであり,産業界との連携が期待されるものである。
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| 今後の研究の推進方策 |
EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)は,弱った信号を増幅するために用いられている特殊な光ファイバーである。EDFA効果を有する光ファイバー内を伝搬する信号の形状変化を数学的に解析できれば,EDFA機能をもつ光ファイバーをいかなる長さだけ準備すればよいのか把握できるようになって,効率的な情報伝達に生かすことができるようになる。今後は,EDFA機能を有する光ファイバー内を伝わる信号の形状変化を突き止めるために,増幅効果を取り込んだ消散型非線形シュレーディンガー方程式の研究に携わっていきたい。そのための方策について以下に記述する。 【方策1】EDFA-dNLS 方程式の非線形項の構造は,反応拡散方程式のそれと似ている。そのため,反応拡散方程式の研究手法を学び取る機会を構築する。非線形分散型方程式の研究者と反応拡散方程式の研究者が一堂に会する研究集会を開催し,定常解の存在証明とその安定性に関する理論を吸収したい。 【方策2】博士後期課程の学生を育てて共同で研究する体制を構築したい。日本人の学生は修士課程を卒業すると就職したがるので,海外に目を向けることにする。海外には PhD を持たない教員がいるので,その人材に声をかけて熊本大学の博士後期糧に呼ぶことで若手の育成と共同研究の機会構築を図る。
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