研究課題/領域番号 |
23K03178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
足達 慎二 静岡大学, 工学部, 教授 (40339685)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 変分解析 / 非線形楕円型方程式 / 可解性 / 非線形楕円型偏微分方程式 / ソボレフ優臨界増大度 / 正値解の存在 / 漸近挙動 |
研究開始時の研究の概要 |
変分解析は現象を理解する方法として極めて有効であるが,数理物理等に現れる諸現象を変分問題として定式化する際には,ベースとなる関数空間からの要請により,方程式に含まれる非線形項の遠方での増大度に関してソボレフ劣臨界増大度を課す必要がある。本研究では非線形項に対して遠方での増大度条件を課すことなく,原点付近での局所的な条件のみでシュレディンガー型の非線形楕円型偏微分方程式の可解性や解の漸近挙動を解明する。また,これらの研究成果をプラズマ物理学由来のある種の準線形楕円型偏微分方程式に対する変分解析に応用する。さらに,本研究を通して変分解析に新展開を生み出す。
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研究実績の概要 |
今年度はシュレディンガー型半線形楕円型方程式に対して,非線形項の遠方での増大度を仮定せずに正値解の存在についての研究を行った。変分的アプローチを用いて解構造を議論する際,ベースとなる関数空間からの要請で優線形劣臨界増大度を課して議論することが一般的であるが,このような条件を課さない場合は,変分解析の適用条件から考えていく必要がある。本研究ではまず,変分的手法が適用可能となるように非線形項を適切に修正し,修正方程式に対して臨界点理論を用いて正値解の存在を示した。次いで,修正方程式の解のアプリオリ評価を導出し,方程式に含まれるパラメータが十分に大きい場合,修正方程式の解が元の方程式の解となることを示した。このように一旦方程式を既存の臨界点理論が適用可能なように修正し,そこで得られた解が元の方程式の解であることを示す手法はよく用いられるものであるが,修正方程式と元の方程式との関係性についてはその都度,詳細な解析が必要となる。本研究では正値解のアプリオリ評価と Moser の反復法を組み合わせることにより,この関係性を明らかにすることができた。この結果は双対変分アプローチを直接的に適用できない準線形楕円型方程式に対しても応用できる可能性があり,変分解析の新展開を生む重要な成果である。 また,ソボレフ臨界型の非線形項を持ち,全空間で定義されたスカラー場型半線形楕円型方程式に対して,変分的アプローチを用いて正値解の存在について研究を行った。今年度は 2 重冪型の一般的な非線形項を考え,一方がソボレフ臨界増大度を持つとき,基底状態解が存在するための低次項に対する条件を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載した研究目的「非線形楕円型方程式に対して変分的手法を用いて理論解析を行い,これまで変分的手法では扱うことができなかったクラスの非線形項を持つ楕円型方程式の解構造を明らかにすること」について,非線形項の遠方での増大度条件を課さずにシュレディンガー型半線形楕円型方程式の可解性を示すことができたので,研究は順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は今回得られたシュレディンガー型半線形楕円型方程式の解構造に関する研究成果をプラズマ物理学由来の準線形楕円型方程式へ応用し,変分解析の新展開を生み出す。 具体的には今回得られた解のアプリオリ評価を用いることで,より広いクラスの準線形楕円型方程式に対して双対変分アプローチを適用し,これにより準線形項や非線形項のさらなる一般化も視野に入れて研究を推進する。 また,2 重冪型の非線形項に対する研究成果を論文に纏め,この成果の応用についても研究を進めていく。
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