研究課題/領域番号 |
23K03182
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 葵 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (40735148)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 適切性 / 分散型方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
非線形分散型方程式では、線形項のもつ分散性と非線形項の非線形との関係により様々な現象が発生することが知られている。本研究では、分散性、非線形性に加えて、確率効果をもつ非線形分散型方程式を考え、これらの関係性により、どのような現象が発生するかを考察する。特に、決定論的な手法と確率論的な手法とを組み合わせることで、初期値問題における解の特異性や挙動の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
令和5年度の研究では、粘性効果をもつ非線形波動方程式の研究を行った。特に、初期値問題の適切性・非適切性の観点から粘性効果がもつ影響を調べた。通常の波動方程式と粘性効果をもつ波動方程式とは、同じ尺度変換で不変である。そのため、尺度臨界指数は共通であるが、適切・非適切となるソボレフ空間の指数には粘性の影響が表れることを明らかにした。特に、通常の波動方程式では、ソボレフ空間の指数が負になれば初期値問題は非適切となるが、粘性効果を含む場合には、粘性がもつ平滑化作用により、正則性が負の場合であっても適切性が得られる状況が起こることを発見した。また、粘性効果をもつ波動方程式において、逐次近似法を用いて適切性が得られる最適な正則性の指数を決定した。 適切性の証明では、粘性効果によるシャウダー型評価を考慮した解空間を設定し、縮小写像の方法により、初期値問題に対応する積分方程式の不動点として解の存在を示した。特に、尺度臨界指数が負になる状況では、正則性の指数が負になるソボレフ空間においても適切性が得られた。 非適切性では、高周波同士の相互作用により低周波が発生する場合を特定し、非線形相互作用で生じる影響を丁寧に観察した。その際、粘性効果の影響で、高周波部分は指数的な減衰を有するが、低周波が発生する際には、そのような指数的な減衰の寄与がほとんどないことを、逐次近似項を綿密に計算することで見つけた。それにより、解写像が不連続となる解を構成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粘性効果を含む非線形波動方程式の初期値問題について、適切性・非適切性に関する結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
決定論的な場合だけでなく、確率効果を含む場合についての解析を行う。
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