研究課題
基盤研究(C)
可微分力学系理論において,「典型的な力学系は,双曲性と呼ばれるある種の秩序立った幾何構造を持つか,観測可能な平衡状態が無限個存在するという非常に複雑な振る舞いを持つかのどちらかである」という分類定理が知られている.Newhouseは,後者のような複雑な統計を持つ非双曲力学系が豊富に存在することを示した.その一方Araujoは,ある種の強いランダム摂動下では,その双曲性の有無に関わらず平衡状態が高々有限個となることを示している.本研究課題の目標は,NewhouseとAraujoの定理の多方面からの改良を通じて,ランダム非双曲力学系理論という自然な研究領域を開拓することである.