研究実績の概要 |
凸幾何学における未解決問題であるMahler予想に関する研究を行った。 より詳しくは、3次元ユークリッド空間に作用する直交群であるO(3)の部分群Gを指定し、Gの作用に関する対称性を持つ3次元ユークリッド空間内の凸体全体に関してvolume productを最小化する問題に関する研究を推進した。この研究内容は、我々の結果[Iriyeh-Shibata, Duke Math. J. 169 (2020), no. 6, 1077-1134], [Iriyeh-Shibata, Discrete Comput. Geom. 68 (2022), no. 3, 738-773]を発展させるものである。 特に、GがSchoenflies記号でD_2, S_4と表される群である場合について研究を行い、それぞれの場合に、最良の不等式を示す部分について証明がほぼ完了した。さらに、最小値を達成する等号成立条件に関する研究にとりかかり、その部分については、当初の予定より複雑で繊細な議論が必要であることが判明した。 これらの結果は、入江博氏(茨城大学)との共同研究に基づくものである。 その他、既に掲載が決定していた論文[Iriyeh, Hiroshi; Shibata, Masataka "Minimal Volume Product of Convex Bodies with Certain Discrete Symmetries and its Applications". Int. Math. Res. Not. IMRN (2023), no.21, 18001-18034]が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Mahler予想に直接関連した問題として、一般的な対称性を持つ凸体のvolume productの最小化問題に関して、3次元の場合に[Iriyeh-Shibata, Discrete Comput. Geom. 68 (2022), no. 3, 738-773]では未解決であった部分について、D_2対称性、S_4対称性に関する部分の最良不等式が得られたが、それぞれの等号成立条件については未解決であり、次年度以降の課題として持ち越しになったため。
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