研究課題/領域番号 |
23K03190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
仙葉 隆 福岡大学, 理学部, 教授 (30196985)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 走化性方程式系 / 対数型知覚関数 / 閾値 / 走化性方程式 / 知覚関数 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、対数関数を知覚関数に持つ走化性方程式系の研究である。 この方程式系は、方程式系の中の定数の大きさにより爆発解と呼ばれる有限時刻または無限時刻で非有界となる解が現れる。 本研究では「爆発解が現れる定数と爆発解が現れない定数には閾値があるか。また、閾値があるならば、その閾値を境にして方程式系の解全体の構造が、爆発解の存在も含めてどのように変化するのか。」を明らかにすることを目標とする。閾値を境として変化する解構造に関しては、有界ではない定常解である特異定常解を含めた定常解の構造の変化との関連を他の関連する方程式系との関連に着目して研究を行うことを計画している。
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研究実績の概要 |
本研究対象である走化性方程式系は化学物質の刺激によって起こる生物の集中現象を説明する為に導出された方程式系であり、2本の発展方程式の組である。ここで、時刻と空間に変数を持つ未知関数についての偏微分方程式系を発展方程式と呼ぶ。また、知覚関数は化学物質の濃度と生物の反応の関係を表す関数である。本研究対象は、対数関数の正定数倍を知覚関数にもつ走化性方程式系であり、本稿ではこの定数を知覚定数と呼ぶ。本研究は、知覚定数と解の挙動との関係を明らかにする事を目的とした。 本研究代表者により、知覚定数が空間の次元を用いて表される閾値を持っていることが予想されている。ここで述べた予想とは知覚定数が閾値より小さければ走化性方程式系の全ての解は時間大域的に存在し有界であり、知覚定数が閾値より大きければ爆発解を持つこと言う。また、爆発解とは時間大域的に存在するが非有界であるか、有限時刻で非有界となる解のことを言う。 現在まで知られているいくつかの成果は知覚定数が閾値より小さい場合の走化性方程式系の解の時間大域的存在と有界性に関する結果であることを踏まえて、本研究では知覚定数が閾値より大きな場合について爆発解の存在についての研究を行い成果を得た。本研究以前では、閾値の2倍よりも知覚定数が大きい場合は爆発解の存在が示されていたが、本研究によって、知覚定数が閾値と閾値の2倍の間のある定数のとき、全空間における単純化された走化性方程式系の解が有限時刻爆発解や時間大域的に存在するが非有界である解を発見した。今後は、今年度の研究で発見した爆発解の爆発時刻における形状を研究することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、対数関数を知覚関数に持つ走化性方程式系の解の性質に関して、知覚定数と解の性質の関係が初年度においておおむね明らかになりつつあることから本研究課題の研究ははおおむね計画通りに進んでいると判断できる。 知覚定数が閾値より小さい場合に関しては、走化性方程式系を構成する2本の発展方程式のどちらかの時定数(発展方程式の時間微分に関する項に関する正定数)が0の場合(以後、この場合を単純化された走化性方程式系と呼ぶ)や時定数が非常に小さい場合については、先行研究によって、その全ての解が時間大域的に存在し有界であることが明らかになったが、本年度のその成果を得るために用いた補助関数を用いた手法の改良を試み部分的な成果を得た。今後、これの手法の改良・精密化を行うことにより現在までの走化性方程式系の時間大域的な解の構成の研究が進展すると考えている。一方、知覚定数が閾値より大きな場合については、知覚定数が閾値と閾値の2倍の間にあるある値の時に時間大域的に存在するが非有界であるような爆発解(以後、無限時刻爆発解と呼ぶ)の構成に成功したが、その構成方法は定常解(時間に依らない解)が単純で具体的な関数で表現できることを利用し、その定常解からの摂動として無限時刻爆発解を構成するという手法である。 以上のように、本年度の研究によって知覚定数が閾値より小さい場合の解の解析手法の改良ができたこと、知覚定数が閾値より大きな場合に新たな解の構成方法を得たことは、本研究の初年度としては満足のいく進歩状況であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、対数関数を知覚関数に持つ走化性方程式系の解の性質に関して、知覚定数と解の性質の関係が初年度においておおむね明らかになりつつあり、その研究手法に関しても新たな手法や知られている手法の改良に関して部分的な成果を得ている。このことは本年度が本研究の初年度であることから本研究課題の研究ははおおむね計画通りに進んでいると判断できるが、今後、以下の問題についての回答を得る必要がある。 知覚関数が閾値より小さい場合に関する走化性方程式の解の時間大域的有界性については、走化性方程式系を構成する2本の発展方程式のどちらかの時定数が0の場合、または非常に小さい場合に関して研究成果を得ているが、本年度の研究によってここで用いられた手法の改良に関して部分的な成果を得ているので、その手法を走化性方程式系の解に適用することで時定数に関する仮定を弱めることを目標としている。 知覚定数が閾値より大きな場合については、今年度の研究によって知覚定数が閾値と閾値の2倍の間にあるある値の時に時間大域的に存在するが非有界であるような爆発解の構成に成功したが、その構成方法は定常解が単純で具体的な関数で表現できることを利用たものであった。この方法は、知覚定数が特定の値の場合にしか適用できないため、定常解の具体的な式を用いるのではなく、定常解の定性的な性質を用いて構成できる方向で手法の改良が必要である。 以上のように、研究手法の改良を行い、それを走化性方程式系の解の解析に用いることにより知覚定数と解の性質との関係に関する予想への接近を計画している。
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