研究課題/領域番号 |
23K03216
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
物部 治徳 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20635809)
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研究分担者 |
出原 浩史 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50515096)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 個体群動態 / 自由境界問題 / 進行波解 / 反応拡散系 |
研究開始時の研究の概要 |
侵略的外来種による環境悪化を防ぐ上で、個体群の生息領域の広がりをコントロールすることは重要である。本研究では、個体群の生息領域の広がりと関係を持つ、Fisher-KPP方程式、Lotka-Volterra方程式と呼ばれる偏微分方程式に着目し、個体群の広がりを抑制するトラップ(罠)を考慮した数理モデルの提唱を行い、空間的にどのように配置すればいいか?という問題を理論的に調べることを目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、個体群動態の広がりを記述するFisher-KPP方程式を基本とし、広がりを抑えるためのトラップを考慮した数理モデルの導出およびその方程式の解の振る舞いを解析した。Fisher-KPP方程式に対する、個体群の広がり方に関する研究は多数報告されている (Aronson et al., 1978)。しかし、この数理モデルは拡散の無限伝播性があるため、個体群の生息領域を明確に定義するのは難しく、等高線などを用いる必要があり、生息領域が明確ではない。一方、Mimura et al.(1986)やDu et al.(2010)は、Fisher-Stefan問題と呼ばれる自由境界を持つ個体群動態の数理モデルの提唱とその解析を行っており、生息領域を明確化することに一部成功している。これらを背景に、本年度は、二種の個体群動態の数理モデルであるLotka-Volterra方程式に着目し、その方程式にトラップの効果を入れたものを研究した。特に、Mimura et al.(1986)やDu et al.(2010)を参考に、構成した数理モデルの特異極限を考え、一つの生息領域に二種の個体群が共存する自由境界問題の導出に成功した。この結果は、一つの相に二つ以上の個体群(未知関数)を持つ自由境界問題に対応しており、従来にはあまり見られない数理モデルの導出に成功した。単純な場合の結果として、個体群の広がりを抑えるためには、初期の個体群の広がりを抑えることが重要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、数理モデルの導出およびその特異極限により自由境界問題の導出に成功した。また、特殊な条件下においては、個体群の広がりとトラップの効果の関係性が明らかになり、個体群の初期設定(個体群の密度と生息領域の広さ)が重要になることがわかり、一部ではあるが個体群とトラップの関係性が明らかになったため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、本年度の研究結果で得た一相二成分の自由境界問題の解析、主に、数値計算結果から予想される空間一次元の進行波解の存在や安定性を確かめる予定である。これらの研究結果をまとめて論文に投稿する予定する。また、空間二次元の問題に対するwell-posedness を調べ、トラップの配置に関する数値解析と理論解析を進める予定である。また、時間遅れの効果をどのように解の挙動が変わるかも調べていく。
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