研究課題/領域番号 |
23K03217
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
会沢 成彦 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70264786)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 高次次数付きリー代数 / 表現論 / 古典・量子可積分系 / 超対称性 |
研究開始時の研究の概要 |
古典力学や量子力学で扱われるモデルの多くは厳密解を求めることができず,近似解を用いて議論するのが一般的である.一方,厳密解が求まるモデル(可積分系と呼ばれる)も多く知られており,厳密解が求まるメカニズムはモデルの持つ対称性と密接に関係している.近年,可積分系の新たな例が発見されたが,それは従来のものとは異なる対称性を持っていた.このことは,従来のものとは異なる対称性を持つ可積分系が数多く存在することを示唆している.本研究では,そのような可積分系を系統的に構成し,解が求まるメカニズムを明らかにし,それらの背後にある普遍的な構造を見出すことを目的としている.
|
研究実績の概要 |
本研究は高次次数付きリー代数(HGLA)が生成する対称性を持つ可積分系の構築とその性質を調べることを目的としている. 本年度は簡単な(すなわち, 次元の低い)HGLAをいくつか取り上げ, 次の成果を得た. (1) Bruceが導入したZ2 x Z2次数付き超対称代数(HGLAの一例)が生成する対称性であるZ2 x Z2超対称性を持つラグランジアンを構成する方法の開発に成功した.このラグランジアンの相互作用項を適切の取ることにより,sin(h)-Godon方程式,Liouville方程式などを拡張した方程式を得ることができた. 対称性により,sin(h)-Gordon, Liouvilleの解から新たな方程式の解を構成できるという意味で, これらの方程式はZ2 x Z2超対称な可積分系である. (2) (1)で述べたラグランジアンの構成方法を開発するためにZ2 x Z2超対称な非可換空間上での積分をどのように定義するかという未解決問題に取り組み, 新たな積分の定義を提案した. この積分の有効性は(1)のラグランジアンの構成により示されており,非可換幾何学の新たな可能性を切り開いた. (3) 戸田場の理論のZ2 x Z2次数付き拡張について研究を行い,非可換空間上で定義されたLoiuville方程式を得た.これはまだ予備的な結果であり,次年度以降より精密な定式化が必要である. (4) アフィンリー環と可積分系の関係をHGLAに拡張するために,Z2 x Z2-osp(1|2)と呼ばれるHGLAのアフィン化を行った.非自明な中心拡大の発見,菅原構成によるVirasoro代数の拡張などの成果を得た.この代数と可積分系の関係を明らかにするのが次のステップである.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」(1)(2)がスムーズに進んだことにより, HGLA対称な古典可積分系の具体例を複数つくることができた.そのため,量子可積分系の研究の基本となるZ2 x Z2超対称量子力学の非自明な例を作ることにも成功した.このハミルトニアンは相互作用に任意性があるので,共形対称性を持つようにすることが簡単にできると思われ,量子可積分系の研究への足がかかりが得られるという進展があった.
|
今後の研究の推進方策 |
期待以上に進展しているので,研究計画にそって研究を行う.今年度の成果は最小Z2 x Z2超対称の場合に限られているので,これをより大きな超対称性に拡張するこをとまずは試みる.また,予備的な結果にとどまっている戸田場の理論のZ2 x Z2拡張を完成させ,古典可積分系の新たな例の構築を目指す.
|