研究課題/領域番号 |
23K03232
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
木村 拓馬 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60581618)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 精度保証付き数値計算 / 有限要素法 / 微分方程式 / 発展方程式 / 誤差評価 / 数値的検証法 / 数値計算 / 数値解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,微分方程式の解を,計算機を用いて自動的に特定する精度保証付き数値計算法の開発を行う. 特に「解の存在証明とともに近似解との誤差評価を行う手法の開発と改良」「関連する諸分野における具体的な問題設定に対応するための新たな知見の創出」を目的とする. 実験用計算機を導入し,実験結果を理論構築にフィードバックすることで,実用的・効率的な手法の考案を目指す. そして、学術研究だけでなく産業や経済などの多くの問題に広く応用できる研究成果を目標に研究を進める.
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研究実績の概要 |
本研究は,微分方程式の厳密解の存在範囲もしくは一意存在の範囲を,計算機を用いて自動的に特定する手法のひとつである精度保証付き数値計算法の開発を行うものである.このような手法の開発によって,計算機による計算結果の信頼性を保証できる. 本研究課題では特に「解の存在証明とともに近似解との誤差評価を行う手法の開発と改良」「関連する諸分野における具体的な問題設定に対応するための新たな知見の創出」の2点を目標として研究を進めている. 初年度は,本研究の根幹となり得る基礎研究として,主に線形放物型方程式を対象として「解の存在証明とともに近似解との誤差評価を行う手法の開発と改良」を目標に研究を進めた. 基本的な線形熱方程式の周期境界値問題に対する空間方向に有限要素法を時間方向にスペクトル法を用いて得られる数値解について,研究代表者らは実際の誤差と同じオーダーで誤差評価ができるという意味でのオーダー最良な誤差評価手法を導出できている.これは既知の手法よりも計算機の記憶領域量を削減できることが理論的に明らかになっている.この研究成果については,国際会議ICIAM(10th International Congress on Industrial and Applied Mathematics)にて,本研究課題の成果を含む査読付き口頭発表一件を行い,論文一篇を国際的な査読付き学術誌に投稿中である.そして,この誤差評価手法の拡張による,より一般的な放物型偏微分方程式に対する誤差評価手法の導出を目指して研究を進めており,いくつかの知見が得られている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究自体は進展しており,【研究実績の概要】に記したように,本研究課題の目標の一つである「解の存在証明とともに近似解との誤差評価を行う手法の開発と改良」について,査読付き口頭発表一件ではあるが関連する成果発表ができており,関連する論文一篇を国際的な査読付き学術誌に投稿中である. よって当初の計画以上とは言えないが進展はしており,遅れているとも言い切れない状況にあるため「おおむね順調に進展している」の区分とする.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,「解の存在証明とともに近似解との誤差評価を行う手法の開発と改良」「関連する諸分野における具体的な問題設定に対応するための新たな知見の創出」の2点を目標に研究を進める. まず「解の存在証明とともに近似解との誤差評価を行う手法の開発と改良」については,初年度に扱った線形熱方程式に関する研究成果を応用・拡張し,より一般的な放物型偏微分方程式に対する誤差評価手法の導出を目指して研究を進める.具体的には,初期値問題においては線形化された放物型方程式に対する構成的誤差評価法を応用することで非線形放物型方程式に対する解の存在範囲を特定する手法が知られており,これと類似のアプローチを初年度に扱った周期境界値問題に適用したい. また,「関連する諸分野における具体的な問題設定に対応するための新たな知見の創出」についても着手する.現在,非線形最小化問題の最適性条件に由来する偏微分方程式について,かつて研究代表者らが扱った行列指数関数の精度保証付き数値計算を用いた解の誤差評価法について知見が得られたため,完成を目指して研究を進めたい.そして,ここで扱う例題においては,数学的・人工的な問題だけでなく他分野に応用できるような具体的な問題を扱う際の工夫を検討したい.
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