研究課題/領域番号 |
23K03233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
由良 文孝 武蔵野大学, 工学部, 教授 (90404805)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 離散力学系 / ソリトン / 有限体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,箱玉系に関して近年得られた知見をもとに有限体上での類似を考察する.この系は有限体上で定義されているため,実数体上で定義された箱玉系との相違が可積分性についての新しい知見を与えることが期待される.この系について一般的な枠組みを構築することが一つの目標である.またこの系では現在までに 1-ソリトン解を書き下すことができており,meta-Fibonacci 数列として知られる自己参照を伴う数列が背後に存在することが研究代表者の研究で明らかになっている.自己参照・木構造を持つようなソリトン解はこれまで知られておらず,新奇なテーマであり,一般の N-ソリトン解やその数理構造の解明を行う.
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研究実績の概要 |
研究代表者はこれまで,順序セルオートマトンモデルを提案しそのソリトン解について研究を行ってきた.その順序セルオートマトンモデルを離散ハングリー Lotka-Volterra 方程式へと帰着することにより,本モデルがなぜこのような可積分系を含みうるのかという点に着目し,有限状態からなる(フィルター型)セルオートマトンを有限体上で考察した結果,有限体上に値を持つソリトン系を得た.これまでに研究代表者により,この箱玉系の類似として得られた有限体F_3上での系と1-ソリトン解は得られていた.しかしその解の構成に現れる木構造を伴う数列との関係は明らかになっていなかった.これまでのところ,meta-Fibonacci 数列の一種として知られる自己参照を伴う数列が背後にあること,およびその数列が,自然数のMersenne数への一意な分割和と関係していることを明らかにした.この分割は自然数のコード化と見做すことができるが,その応用も含めて今後の課題である.このような構造が現れることの必然性には不明な点が多く,これらの研究成果をもとに,令和6年度には解の数理構造や一般解について研究を進める.
また,離散力学系における可積分性は代数的エントロピーにより特徴づけられることが知られているが,その観点から本ソリトン系について数値実験を令和5年度に行った.この代数的エントロピーにおける次数の計算には数式処理と大容量のメモリーを必要とするため,128ギガバイトのメモリーを搭載したシステムを本助成金により構成し,実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の申請時までに,箱玉系の類似として得られた有限体F_3上での系と1-ソリトン解は研究代表者により得られていた.しかしその解の構成に現れる木構造を伴う数列との関係は明らかになっていなかった.これまでのところ,meta-Fibonacci 数列の一種として知られる自己参照を伴う数列が背後にあること,およびその数列が,自然数のMersenne数への一意な分割和と関係していることを明らかにした.この数列における結果から,p=3以外の系への拡張を考察した.また,離散力学系における可積分性を特徴づける代表的な性質の一つとして代数的エントロピーが挙げられるが,(有理関数ではなく)多項式解について数値実験を令和5年度に行った.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに研究代表者により得られていた箱玉系の類似としての有限体F_3上での系と1-ソリトン解の構成について,そこに現れる木構造を伴う数列との関係は明らかになっていなかった.令和5年度には,meta-Fibonacci 数列の一種として知られる自己参照を伴う数列が背後にあること,およびその数列が,自然数のMersenne数への一意な分割和と関係していることを明らかにした.このような構造が現れることの必然性には不明な点が多く,その本質的な理解が必要である.本研究で現れた自己参照を伴う数列について,その構造を明らかにすることがまず今後の課題である.令和6年度にはこれらの研究成果をもとに,解の数理構造や一般解について研究を進め,査読付き欧文誌・和文誌への投稿や学会などでの講演を行う予定である.
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