研究課題/領域番号 |
23K03236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
代田 健二 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (90302322)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 係数同定問題 / 弾性波動場 / 抽象勾配法 / 内部観測 / 境界観測 / 異方性弾性波動場 / 数値解法 / 逆問題 |
研究開始時の研究の概要 |
完全異方性弾性波動場における弾性テンソル同定問題に対する数値的に安定かつ一定精度で同定可能な解法開発の基盤構築を目的として,次の研究を期間内に実施する:(i)線形等方性弾性波動方程式のラメ係数同定問題に対する数値解法の開発,(ii)線形等方性粘弾性波動方程式の粘弾性係数同定問題に対する数値解法の開発,(iii)直方異方性2次元弾性波動方程式の弾性係数同定問題に対する開発手法の応用,(iv)直方異方性3次元弾性波動方程式の弾性係数同定問題に対する開発手法の応用,(v)線形等方性弾性波動方程式のラメ係数同定問題に対する高速解法の開発.
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研究実績の概要 |
今年度は,研究目的(i)の「H2勾配法を応用した線形等方性弾性波動方程式のラメ係数同定問題に対する数値的に安定な解法の開発」を実施した.既に開発済みの「内部観測データによる等方性弾性波動方程式のラメ係数同定問題に対するH2勾配法」では,与えられたデータによって著しく精度が低下するという事実が明らかになっているため,問題設定において,内部観測のみではなく弾性体表面において表面力を観測データとして付加することで,精度の低下を防ぐことを試みた.設計変数とシグモイド関数を用いた密度型係数関数を導入することで,制約条件なしの密度型ラメ係数同定問題を導入し,さらに内部観測データと境界観測データを用いた二乗積分による密度型汎関数の最小化問題へ元の問題を帰着させた.最小化問題を解く手法として,開発済みのH2勾配法を採用することで数値計算アルゴリズムを導出した.本研究成果については,2024年6月に開催される第29回計算工学講演会での発表を予定している.なお開発手法において仮定している境界観測データは表面力であるが,この場合,理論的に汎関数のGateaux微分の存在を保証するためには,時間方向および空間方向における一定以上の滑らかさおよび3次までの整合条件を満たすことが必要とされる.そのようなデータを実モデルで仮定することは困難であるため,次年度以降は,内部変位とともに内部ひずみの使用,また表面変位を観測データとして採用した場合についても考察し,実用に耐えうる方法を開発していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では線形弾性波動方程式について2023年度半ばに終了させる予定であったが,汎関数のGateaux微分の導出に予定より時間を要したこと,また本研究にも有用な関連研究「波動方程式の順問題に対する直接的数値解法の開発」に大きな進展があり,そちらの研究を優先させた期間があったため,今年度までに終了させることができなかった.以上の理由により,現在までの進捗状況として「(3) やや遅れている。」とした.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度半ばまでに「(i) 線形等方性弾性波動方程式のラメ係数同定問題に対する数値解法の開発」について,実用を視野に入れた問題設定の検討および,その設定に対する同定手法を確立する.その結果をもとに「(ii) 線形等方性粘弾性波動方程の粘弾性係数同定問題に対する数値解法の開発」を実施する.具体的には,(i)で開発した方法を応用し,数値計算アルゴリズムを導出する.数値実験により有効性,特に粘弾性に伴う減衰効果の同定結果への影響を明らかにすることで,令和7年度以降の同定精度向上検討の基盤づくりを実施する.
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