研究課題/領域番号 |
23K03253
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
岩山 隆寛 福岡大学, 理学部, 教授 (10284598)
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研究分担者 |
谷島 尚宏 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (00548141)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 点渦 / 自己相似衝突 / 非自己相似衝突 / 安定性 / 渦 / 2次元 / 自己相似運動 |
研究開始時の研究の概要 |
2次元非圧縮非粘性流体系(Euler系)を数学的に一般化した,一般化された2次元流体系において,3個の点渦の自己相似合体,非自己相似合体に関する以下の3のテーマについて研究する: 1)3個の点渦の自己相似合体の線形安定性解析. 2)3個の点渦の自己相似合体の安定性に関する微分幾何学的解釈. 3)3個の点渦の非自己相似合体が生じる条件. 本課題は上記のテーマに対して,地球流体力学研究者と微分幾何学研究者が共同で行う挑戦的研究である.
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研究実績の概要 |
一般化された2次元流体系の3個の点渦の衝突合体現象について,理論的・数値実験的研究を行った.初年度は,点渦が作る三角形が,形を変えず大きさが拡大もしくは縮小する軌道の線形安定性を研究した. 一般化された2次元流体系の点渦モデルには,実数パラメタ―αが含まれており,αの値により渦どうしの相互作用の仕方が変わる,流体力学で伝統的に研究されてきたEuler系はα=2に対応する.αの値が2以外の場合に,Euler系で知られている点渦の運動の様々な性質がどのように変化するのか,さらにそのメカニズムを明らかにすることで,点渦の運動をより深く理解することが本研究の目的である.Aref(2010)によって行われたEuler系の点渦の研究によると,自己相似衝突軌道は線形不安定であるが,拡大軌道は線形安定である. Aref(2010)の理論を参考にして,本研究課題の系の安定性を定式化した.安定性は,6×6の行列の固有値に依存する.この行列の固有値を数値的に求めたうえで,さらにEuler系における同様の行列に関する固有ベクトルから,本申請課題の系の行列の固有ベクトルを推測し,6個の固有値をすべて解析的に表現することができた.このことにより,一般化された2次元流体系の点渦の自己相似軌道の線形安定性を解析的に評価することが可能になった. 自己相似軌道は,系が満足しなければならない不変量の束縛条件の範囲内で,衝突軌道は線形不安定,拡大軌道は線形安定であり,系に含まれるパラメターαに依存しないことが分かった. 上記の他に,申請課題の2番目のテーマである,非自己相似衝突解の存在に関する研究にも着手した.この問題を解決するための手掛かりとなる論文を解読し,Euler系の3個の点渦において,非自己相似衝突が存在しないことの数学的証明を整理した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究費の申請時において,3つのテーマを挙げていた.1番目のテーマは,研究が完了し,論文を2023年中にJournal of Physical Society of Japanにおいて出版,公表している.2番目のテーマは初年度から着手することができ,解決の手掛かりについても得ることができた.以上のことから研究は順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2年目の研究テーマは,一般化された2次元流体系の3個の点渦において,非自己相似衝突解の存在に関する数学的証明である.この系はパラメターαを含み,α=2の場合には,非自己相似衝突解は存在しないことが,Hernandez-Garduno and Lacomba(2007)によって証明されている.彼らの方法を参考に,αが2以外の場合を調べる計画である.彼らの手法を整理して,理解ができた状態であり,この手法を一般化された2次元流体系の3個の点渦に適用する準備は整っている.また,数学的な証明に加えて,具体的な場合を例示する必要がある場合,点渦の数値計算を高精度に行うための数値計算コードを3種類構築している.
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