研究課題/領域番号 |
23K03257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
岡野 太治 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60622082)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Belousov-Zhabotinsky反応 / 化学コンピューティング / 化学コンピュータ / リザバーコンピューティング / 化学振動子 / 時空間ダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
人工知能の発展によって,ノイマン型コンピュータに内在する諸問題(ムーアの法則,ノイマンボトルネック,消費電力)が顕在化してきた.この解消には非ノイマン型コンピュータの利用が有望であるが,これには,設計段階で規定された特定の処理しか行えないという課題がある.そこで,汎用性と省電力性を備えた「プログラマブル化学コンピュータ」を提案する.これは,化学振動子のネットワークに生じる非線形ダイナミクスによって入力信号を非線形変換し,平易なアルゴリズムで高度な情報処理を実現するものである.本研究ではその技術基盤を構築し,時系列データの平滑化と文字識別という異なる処理を,単一システムで達成することを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究は,化学振動子ネットワークを利用した化学コンピュータの技術基盤を構築することを主目的としている.これを達成するため,今年度は化学振動子ネットワークの最適化と,ノイズ重畳信号から有意信号だけを抽出する手法の確立を目指して研究を行った.その結果,ネットワークを構成する振動子の結合強度を最適化することで,効率よく信号を抽出できることを明らかにした.また,2年目に計画していた,化学振動子ネットワークで文字識別処理を行う研究に取りかかり,字形が異なる同一種類の文字をその文字に固有のパターン画像へと変換することに成功した. 研究では,化学振動子としてBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応をする微小ゲルを利用した.BZ振動子を直線状に結合させたネットワークでは,ネットワーク最上流の振動子にランダムな時間間隔でパルス信号を入力すると,システムのダイナミクスによってネットワーク下流の素子ほどパルス信号のランダムネスが低下する.この現象を利用して,ノイズを含んだ信号からノイズを除去し,信号だけを抽出できるか検証した.その結果,振動子の結合が弱いと信号がネットワークを伝播する過程で減衰してしまうこと,強いとランダムネスの低下がほとんど起こらないことがわかった.これを踏まえ,最適な結合強度に設定したネットワークで実験を行ったところ,ノイズ重畳信号から有意信号を抽出することに成功した. 続いて,数字が描かれた画像を画素単位で順次スキャンし,時系列パルスデータへと変換してネットワークに入力した.その結果,適切なネットワークの構成条件下で,同一種類・異字形の数字を数字の種類に固有のパターン画像へと変換することに成功した. これまでに得られた成果は,学会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では,今年度は化学振動子ネットワークの最適化とノイズ重畳信号から有意信号だけを抽出する手法の確立を計画していた.これらは本年度中に達成し,更に次年度に予定していた計画の一部を前倒しして実施していることから,研究は順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は当初計画を概ね達成できた.今後の研究を推進するにあたって研究目的の達成に支障となるような大きな問題はなく,今後の研究も当初計画どおりに実施する.
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