研究課題/領域番号 |
23K03258
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐藤 正英 金沢大学, 学術メディア創成センター, 教授 (20306533)
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研究分担者 |
鈴木 良尚 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (60325248)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | コロイド / 多形制御 / 合金 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の学術的問いは「狭い空間に束縛されたコロイド粒子のコロイド結晶の形成はバルクでのコロイド結晶の形成と何が違うか?狭い空間を利用すればバルクより容易にコロイド合金構造を作製し,効率的に良質結晶を形成できないか?」ということである。そこで具体的な本研究の目的として,2 枚の平板に挟まれた狭い空間内でコロイド粒子が作る合金構造をシミュレーションと実験で解明する。複雑なコロイド合金構造の形成の可能性を明らかにし,薄い空間を逆手にとり,機能性材料の良質なエピタキシャル基板の効率的な形成を可能にすることを試みる。国内外の研究で,この点に着目した研究はなく新規性がある。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,2つの平面に挟まれた狭い空間内に束縛された2成分系コロイド粒子が作る合金構造や構造形成過程が,束縛されている空間が狭いことにどのような影響を受けるかを明らかにすることである。具体的には,本年度の目標を2つの平行平面間の狭い空間内で粒径が異なる2成分粒子系が作る構造を解明することに設定した。 最近野澤ら(東北大)が行っているコロイド粒子のヘテロエピタキシャル成長を行い,粒子で三角格子を組ませた基板に対して,基板を形成している粒子と特定の粒径比の粒子を付着させると,基板に対して並行な三角格子と30度回転された三角格子が形成されうることを示している。 これを念頭に置いて,モンテカルロシミュレーションを行い,2つの平面に挟まれた空間が粒径に対して十分に幅がある場合には基板に対して30度回転された三角格子が形成され,2つの平面間が十分に狭いときには,基板に対して並行な三角格子ができることを明らかにした。これは,十分に幅がある場合には,基板と第一層目のエピタキシャル層の相互作用に加えて,第一層目と第二層目のエピタキシャル層の相互作用により,基板に対して30度回転された三角格子が安定になることによることを明らかにした。上記の結果は,他の結果と合わせてScientific reportsに論文として出版済みである。 また実験においては,分担者の鈴木が引力系の二次元コロイド結晶の生成素過程を観察することに成功した。この結果から,2つの平面に挟まれた狭い空間内での二次元コロイド結晶で生成の素過程についても,今後観察可能であると考えられる。また,この結果については、Modern Physics Letters Bに論文として発表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2成分粒子のうち一成分で基盤を作成して,その上で構造を作成するヘテロエピタキシャル成長という限定的な状況ではあるが,2つの平面に挟まれた空間の狭さが基板上に形成される構造への影響を確認することができた。このことから概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度はモンテカルロシミュレーションを行ったため,時間発展を追うことができなかった。今年度はブラウン動力学法などを用いて時間発展を追う。また,基板ではなくて2成分にしたときにはどのようになるのかを,モンテカルロシミュレーションで調べる予定である。
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