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双対性で探る1次元量子多体系のEfimov効果

研究課題

研究課題/領域番号 23K03267
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分13010:数理物理および物性基礎関連
研究機関日本大学

研究代表者

大谷 聡  日本大学, 理工学部, 助教 (40755542)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワードEfimov効果 / 離散的スケール不変性 / 1次元量子多体系 / トポロジー / ボゾン・フェルミオン双対性
研究開始時の研究の概要

量子多体系で連続的スケール不変性が離散的スケール不変性へ破れると,多体の束縛状態は必ず無限個出現し,その束縛エネルギーは必ず等比数列をなす.これが(広義の)Efimov効果と呼ばれる現象で,1970年に3体問題に対して予言されて以来多くの研究者によって研究されてきた.ただし,このEfimov効果の発現の有無は粒子統計と空間次元に依存し,特に低次元の場合の発現機構は未だ不明である.本研究では「配位空間の方法」および「ボゾン・フェルミオン双対性」と呼ばれる手法を用いて1次元同種N粒子系におけるN体Efimov効果の発現機構を明らかにし,その厳密解を構成する.

研究実績の概要

本研究の主な目的は内部自由度を持つ1次元同種N粒子系に対して双対性の手法を用いてN体Efimov効果の厳密解を構成することである.この目的の下,本年度ではまず内部自由度を持つ同種粒子系に対してボゾン・フェルミオン双対性の拡張を考察した.一般に,同種粒子系ではハミルトニアンは対称群の下で不変でなければならず,このことの帰結として多体Hilbert空間は必ず対称群の規約表現に分解される.特に1次元自明表現に対応するのがボゾン,1次元符号表現に対応するのがフェルミオンであるが,内部自由度を持つ場合は対称群の高次元表現が原理的には出現可能である.このような対称群の高次元表現に従う同種粒子の統計性はパラ統計と呼ばれ,ヤング図で分類することが可能である.本年度はこのボゾン・フェルミオン双対性のパラ統計への拡張を調べ,双対なヤング図に対応する同種粒子系が等価になり得ることが分かった.
また,本年度は上記の研究と並行して1次元非同種粒子系におけるEfimov効果の厳密解を構成するという研究も行った.内部自由度の無い1次元非同種粒子系では2体接触相互作用は一般に2次元ユニタリー群U(2)で規定されることが知られている.本年度はこの一般的な2体接触相互作用の下で相互作用をする半直線上の非同種2粒子系に対してEfimov効果が発現するための条件を明らかにした.また,1次元非同種粒子系では3体接触相互作用がトポロジー的に非自明になり得るのだが,そのようなトポロジカル3体接触相互作用を表す多体ハミルトニアンを構成することも行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初,本年度は内部自由度を持つ1次元同種粒子系におけるスケール不変な2体接触相互作用を分類する予定であった.この分類はまだ完了していないが,以下に述べる理由により本研究課題はおおむね順調に進展していると言える.
まず配位空間の方法と呼ばれる方法論を用いると,2体接触相互作用の分類は多体配位空間の中の2粒子衝突点の集合におけるスケール不変な境界条件を分類する問題と等価である.そして,この境界条件の分類はユニタリー性(確率保存則)と矛盾しない最も一般的な境界条件に対してスケール不変性および同種粒子の統計性を課すことで行うことができる.先行研究によりユニタリー性と矛盾しない境界条件はすでに分かっており,またスケール不変性の要請方法も確立している.従って,同種粒子の統計性が定まればこの問題は解くことができる.内部自由度を持つ同種粒子の統計性は一般に対称群の高次元表現で分類され,さらに本年度の研究成果により,双対なヤング図で定まる高次元表現に従う2つの同種粒子系は双対になり得ることも判明した.従って,あとは対称群の高次元表現と矛盾しないスケール不変な境界条件を分類すれば,拡張されたボゾン・フェルミオン双対性が成り立つスケール不変な1次元同種粒子系を構成することができる.以上の理由により,本研究課題はおおむね順調に進展していると言える.

今後の研究の推進方策

まずボゾン・フェルミオン双対性のパラ統計への拡張を完了させ,スケール不変な2体接触相互作用を分類する.その後,このスケール不変な2体接触相互作用の下でのEfimov効果が発現するための条件を明らかにし,N体シュレーディンガー方程式の厳密解を求める.先行研究に倣い,この厳密解の構成は1次元N体シュレーディンガー方程式をN次元1体シュレーディンガー方程式として捉え直し,特殊な座標変換および変数分離を駆使して1次元1体問題に帰着させるという方法で行う.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Discrete Scale Invariance and U(2) Family of Two-Body Contact Interactions in One Dimension2024

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ohya
    • 雑誌名

      Few-Body Systems

      巻: 65 号: 2 ページ: 33-33

    • DOI

      10.1007/s00601-024-01904-6

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Topologically nontrivial three-body contact interaction in one dimension2023

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ohya
    • 雑誌名

      Progress of Theoretical and Experimental Physics

      巻: 2024 号: 1

    • DOI

      10.1093/ptep/ptad149

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 1次元多体問題におけるトポロジカル3体相互作用2024

    • 著者名/発表者名
      大谷聡
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Discrete scale-invariant boson-fermion duality in one dimension2023

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ohya
    • 学会等名
      25th European Conference on Few-Body Problems in Physics
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [備考] 日本大学量子科学研究所ホームページ

    • URL

      https://www.quant-ph.cst.nihon-u.ac.jp/topics/topics-627/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 日本大学量子科学研究所ホームページ

    • URL

      https://www.quant-ph.cst.nihon-u.ac.jp/topics/topics-633/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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