研究課題/領域番号 |
23K03278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
森脇 喜紀 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (90270470)
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研究分担者 |
福山 祥光 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 研究員 (20332249)
小林 かおり 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (80397166)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 超伝導 / 微粒子 / 空間捕捉 / 超伝導転位温度 / レーザーアブレーション / 磁気トラップ / ミリ波 / X線構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導微粒子を磁場中に空間捕捉し,その物性を明らかにする。バルクの試料をレーザーアブレーションすることにより,ほぼ真球の微粒子を生成することができる。超伝導状態にある単一の微粒子は,完全反磁性により不均一磁場中で孤立させて空間捕捉することができる。温度や微粒子のサイズを実験パラメターとして,微粒子の捕捉・脱離や光・電磁波との相互作用を調べ微粒子の超伝導転移温度, 超伝導ギャップ, 磁場侵入長,結晶構造などの超伝導物性を明らかにする。このように単独の微粒子を生成,空間捕捉し,ミリ波領域からX線領域の光との相互作用を利用して物性を検出・測定する手法を開発・確立し,超伝導転移機構を解明する。
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研究実績の概要 |
超流動ヘリウム中で磁場トラップした超伝導微粒子にレーザー光を照射することにより,微粒子のトラップ位置を変位させることができる。この変位量のレーザー強度,超流動ヘリウムの温度への依存性を調べた。低温側から超流動転位温度に近づくに従い,微粒子の変位が小さくなることから,2流体モデルによる解析を進めた。さらに,レーザーアブレーションにより超流動ヘリウム中に大小複数の微粒子を生成しトラップした。大微粒子にレーザー光を照射する場合に,大微粒子の近傍の小微粒子がレーザーの照射方向とは逆方向へ変位することが観測された。小さな微粒子にはレーザー光は照射されていないので,その動きは回りの液体ヘリウムの流れに従っていると考えられる。このことから,トラップされた超伝導微粒子を用いて超流動ヘリウムの流れを可視化することができると考えられる。 レーザーアブレーションにより生成された微粒子の大幅な超伝導転位温度変化の原因を探るため,レーザーアブレーションにより微粒子を多数生成するための実験系を構築した。これらの微粒子を用いて構造解析を行う。 超流動ヘリウム中で磁場トラップした超伝導微粒子に対してバンドギャップ相当のミリ波を照射して,伝導状態の変化を探る実験を進めた。クライオスタット内部へのミリ波の導入方法として,クライオスタット上部から導波管を用いる方法と,クライオスタット側面の光学窓を透過させる方法で行っている。また,関連する理論的な見積を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザー光照射によるトラップされた超伝導微粒子の運動について実験,モデル解析を進めることができている。超伝導バンドギャップ測定については実験,解析を進めているがさらに検討を進めることが必要である。超流動ヘリウム中での微粒子の運動について新たなプローブとしての可能性が分かってきたので,今後さらに調査を進める。構造解析実験は次年度以降に行う。
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今後の研究の推進方策 |
レーザーアブレーションで生成された超伝導転位温度が大幅に上昇している微粒子について,その転位温度を確定させるための実験を進める。低温ヘリウムガス中でのアブレーションにより微粒子を生成トラップし,温度変化に伴いトラップから離脱する温度を測定する。また,レーザーアブレーションにより生成された微粒子の構造解析を行う。 レーザー光の照射によりトラップ微粒子が変位するその力の大きさと,レーザー光の強度,ヘリウムの温度などへの依存性を実験的に測定し,それらをもとに理論モデルの構築・検証を行う。 ミリ波を用いた超伝導バンドギャップ測定について検討を進める。
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