研究課題/領域番号 |
23K03280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
佐々木 重雄 岐阜大学, 工学部, 教授 (30196159)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 希ガスハイドレート / ブリュアン散乱 / 単結晶X線回折 / ケージ占有性 / 弾性的性質 / 構造安定性 / X線回折測定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,単結晶X線構造解析を希ガスハイドレートに対して行うことにより,ゲストのホストケージ占有数を含め精密構造を決定する.さらに,その結果をもとにしてブリュアン散乱分光測定より得られた結果から弾性定数の圧力依存性を評価する.得られた弾性定数は希ガスハイドレートの構造安定性に関する情報を含んでいるため,これを解析することによってメタンハイドレートを含むガスハイドレートの構造維持に関するゲスト-ホスト間のダイナミクスの解明を行い,関連するエネルギー資源,惑星物理学への寄与を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究では,高圧単結晶X線構造解析によってケージ占有数を含めた希ガスクリプトンハイドレートおよびアルゴンハイドレートの詳細構造を決定し,これを高圧ブリュアン散乱分光測定から得られた結果と融合・比較することにより,sI相,sII相,sH相の弾性定数の圧力依存性の決定,ゲスト-ホスト間のダイナミクスと構造安定性の解明を目的とする.2023年度は希ガスハイドレートの単結晶高圧ブリュアン散乱測定,単結晶X線回折実験用ダイヤモンド・アンビル・セルの設計製作およびあいちシンクロトロン光センターBL2S1における高圧単結晶X線回折実験条件の最適化について試みた. 希ガスハイドレートの高圧ブリュアン散乱測定に関しては,アルゴンハイドレートのsII相およびsH相,クリプトンハイドレートのsII相,sI相,sH相の測定が概ね終了し,それぞれの弾性定数と密度の比の圧力依存性を決定した.また,これらブリュアン散乱測定の結果から,クリプトンハイドレートsH相において大ケージ内のクリプトン原子数が1次転移的に変化している可能性があることが分かった. 単結晶X線回折実験用ダイヤモンド・アンビル・セルの設計・製作は問題なく完了し,高圧単結晶X線回折実験を行う準備は整った.また,あいちシンクロトロン光センターBL2S1での構造解析に必要な高圧単結晶X線回折実験条件の最適化についてはX線波長,カメラ長較正のために使用している酸化セリウムの粉末回折スペクトルを基準に検証を行った結果,通常構造解析で行われている回折線強度補正では不十分であること,また,X線2次元検出素子の設置にも問題があり,検出素子の座標変換が必要であることも分かった. これらの実績に加えて,本研究推進のための補助的実験として,アルゴンハイドレート,窒素ハイドレート,メタン-THFハイドレートの粉末X線回折測定も行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた通り,2023年度に予定していた研究は概ね順調に進んでいる.しかし,あいちシンクロトロン光センターBL2S1においてガスハイドレートの単結晶X線構造解析を行うためには,複雑な回折線強度補正および,2次元検出素子の座標変換を行う必要があることが分かった.化学量論比が整数比で表される結晶であれば大きな問題ではないが,整数比にならないガスハイドレートでは大変重要な座標変換・強度補正作業になる.これは当初予想できなかった実験装置固有の問題であるため,2024年度に追加の研究項目として実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,アルゴンハイドレートsII相,sH相,クリプトンハイドレート,sII相,sI相,sH相の高圧単結晶X線回折測定を主として行い,ゲスト占有率を含む各相の構造と弾性的性質の詳細決定を行うための準備を行う予定であったが,これに先立ってX線回折線強度補正および2次元検出素子の座標変換システムの構築が新たに必要になった.あいちシンクロトロン光センターBL2S1の2次元検出装置は10個の2次元センサーを並べて使用しているが,このセンサーの素子群が精度よく2次元座標軸に配置されていないため,これを座標変換してコンピューター上で正しく配置し直す必要がある.この変換を行った後,基準試料である酸化セリウムを用いて装置固有の回折線強度補正を行う座標変換・強度補正システムを構築する.また,強度補正に関しては日々補正係数が変化する可能性があるため,短時間での補正用データの測定も要求される.このシステムの構築の後,2024年度ではアルゴンハイドレート,クリプトンハイドレートおよび補助的実験として窒素ハイドレート,メタン-THFハイドレートなどの立方晶系のガスハイドレート相(sI相,sII相)の単結晶X線回折測定を行う.
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