研究課題/領域番号 |
23K03291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
森 道康 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (30396519)
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研究分担者 |
小椎八重 航 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 上級研究員 (20273253)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | シャピロステップ / 電荷密度波 / 表面弾性波 / 磁気スキルミオン / 磁気秩序 / 非線形伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
固体中の音波である弾性波に焦点を当て、弾性波を電磁波やエレクトロニクスのように伝導制御する方法を追究する。背景には、最新のスピントロニクスにおいて、弾性波を用いたスピン流の生成制御の研究が急速に進展している事実がある。本研究では、新たな方向性として、研究代表者の理論である電荷密度波を用いた弾性波の高感度検出を基に、弾性波そのものを情報担体とした革新技術を切り拓くものである。
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研究実績の概要 |
電荷密度波は電子格子相互作用によって誘起される電荷秩序状態である。弾性波が印加されていない場合、電流電圧特性は、しきい値を持った非線形な振る舞いを示し、単調増加する。それに対し、弾性波が印加されると弾性波の振動数の有理数倍に比例した電流値で階段状の変化が現れる。電圧の電流に関する微分値を取ると、弾性波の振動数の整数倍の電圧に顕著なピークが現れる。この現象は、超伝導接合におけるシャピロステップと類似の機構である。超伝導接合のシャピロステップが電圧標準として用いられているように、電荷密度波の量子化された電流電圧特性は、弾性波の超高感度測定を可能にする。このような固体中の音波である弾性波に焦点を当て、弾性波を電磁波やエレクトロニクスのように伝導制御する方法をめざして研究を開始した。電荷密度波を用いた弾性波の高感度検出を可能にし、弾性波そのものを情報担体とした革新技術を切り拓くことをめざす。 そのため、まずは次の三つの問題から取り組んだ。(1) これまで現象論的に導入されていた電荷密度波と固体中を伝搬する弾性波との結合を、ミクロな視点から導出する。(2) 電荷密度波に交流電場を加えて現れるシャピロステップについて、簡潔な等価回路模型を構築する。(3) 磁気スキルミオンが磁歪などの磁気弾性結合を通して受ける変化を明らかにする。これは弾性波を磁気スキルミオンなどの磁気構造を用いて制御するために必要である。(1)については、格子変位をゲージ場として扱い、電荷密度波との結合を導く方法を試みた。(2)については、超伝導接合との対比を用いた。超伝導接合が複数並列接続された等価回路模型を用いることで有理数比のシャピロステップが出ることが分かった。(3)については、いくつかの磁歪を仮定して磁気スキルミオンの変化を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電荷密度波のシャピロステップが有理数倍に現れる仕組みの理解が必要であった。それに対して、超伝導接合が複数並列接続された等価回路模型を用いることで有理数比のシャピロステップが出ることを見出した。この結果は、電荷密度波の場合に複数のピン止めが重要であることを示しており、研究の出発点を固めることができたと言える。このことから概ね順調に進展していると判断する。一方、電荷密度波と弾性波との結合について解析的表式を導いたが、引き続き検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
電荷密度波での等価回路模型について数値的手法も取り入れて研究する。また、電荷密度波と弾性波との結合の解析的表式の導出を引き続き進める。弾性波による磁気構造への効果について実空間数値計算を行う。
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