研究課題/領域番号 |
23K03293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中西 毅 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, ラボ長 (00301771)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 原子層物質 / ベリー位相 / トポロジー / エッジ状態 / ナノカーボン物質 / トポロジカル位相 / 電子状態計算 |
研究開始時の研究の概要 |
数学のトポロジーの概念を用いた、ナノカーボン物質の端や接合の状態の研究が進展している。本研究では、トポロジーの概念の適用範囲を広げることを目的とし、これまで調べられてこなかったナノカーボン物質の接合状態、帯磁率、磁気振動、電気伝導度などを解明するとともに、トポロジカル位相についての理解を深める。本研究により新しいナノカーボン物質を設計し、新しい量子物性の発現を予言し、トポロジーの概念を用いた研究を進展させる。
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研究実績の概要 |
本研究ではカイラル対称性のない系でのトポロジカル位相を用いた物性の解明、および非量子化ベリー位相と物理量の関係から幾何学的位相の理解を目的とする。 本年度は特にα-T3模型を取り上げ、その電子状態とエッジ状態を調べた。この模型はグラフェン(α=0)からダイス格子(α=1)への連続的な移り変わりを記述する。両極限を除いてベリー位相は非量子化されており、グラフェンで報告されてきた量子化ベリー位相とエッジ状態の対応は成り立たない。幾つかの典型的なエッジ構造について境界条件を示し、それらについて2次元のα-T3模型は、並進対称な方向の波数を固定することにより、1次元のstub-SSH模型と等価となることを示した。 グラフェンの有効ハミルトニアンはスピン1/2のハミルトニアンと等価であることが知られているが、これらの模型はスピン1のハミルトニアンと等価である。そこで、シュウィンガーボゾンの表記を用いてバルク状態の電子状態をブロッホ球上の2つのマヨラナスターとして記述し、幾何学的に理解した。マヨラナスターのz軸周りの巻き付き数をトポロジカル数と定義し、エッジ状態との対応を示した。これにより、グラフェンのエッジ状態から、ダイス格子のエッジ状態への連続的な移り変わりを示した。このエッジ状態は、グラフェンの0エネルギーのエッジ状態と違い、エネルギー分散関係を持つ点が特異である。 また、実験グループと共同で1T'相の硫化タングステン原子層の研究も進めている。実験グループはラマン分光の直線偏光した光源の角度依存性により結晶方位を同定する成果を得ている。そこで、密度汎関数法による第一原理計算により対応するラマン振動数の計算を行い、実験をおおむね説明する成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では量子化されないトポロジカル位相と物性量との関係に焦点を当て、トポロジカル位相についての理解を深め、その適用範囲を広げることを目的とする。本年度はα-T3模型を例に新しくトポロジカル数を定義し、エッジ状態との対応を明らかにする成果を得た。グラフェンにおいて、エッジ状態と対応するトポロジカル位相であるベリー位相が使えない場合においても、新しい幾何学的な対応を解明した。この結果の一部は米国物理学会にて口頭発表した。この成果を論文にまとめ近日中に投稿予定である。 さらに、実験との共同研究も推進している。1T'相の硫化タングステン原子層のラマン分光について密度汎関数法による第一原理計算の成果を得て、国内学会にてその一部を発表した。 海外の実験グループとも国際共同研究の議論を始め、光吸収とエキシトンの効果について理論計算を行い、2次元原子層で重要となる電子間相互作用の解明を目指した研究を手がけている。
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今後の研究の推進方策 |
α-T3模型については、端がある種の構造を持つ場合にはstub-SSH模型と等価にならない事が明らかになった。その場合のトポロジカルな理解について引き続き研究を進める。磁気特性など物性量との関連についての研究も当初の計画通りに進める。 原子層材料について、密度汎関数理論に基づく第一原理計算による、実験と関連した研究も推進する。1T'相の硫化タングステン原子層については、これまでの計算では一部のラマンピークについて説明が不十分なので、元素置換の効果を詳しく調べ、実験結果との対応を解明する。 またマンガン燐セレンの原子層では反強磁性が示されており、エキシトン効果の解析から強い電子間相互作用を解明する。原子層の層数依存性を調べ、クーロン相互作用のスクリーニングの観点から考察を深める。 硫化レニウムの原子層については、発光の偏光と、その磁場依存性について未解明の実験結果を説明する研究を行う。エキシトン効果を計算により調べ、対称性を考察することにより、実験の説明に取り組む。
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