研究課題/領域番号 |
23K03295
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
柴山 義行 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20327688)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 量子渦 / 渦輪 / 超流動ヘリウム / 量子流体 / 巨視的量子効果 / 巨視的量子現象 / 強相関ボース凝縮体 / 超流動 / 低温物理学 |
研究開始時の研究の概要 |
量子渦はボース凝縮体に特有な巨視的量子状態であり,ボース凝縮体のダイナミクスに深く関わる.量子渦をプローブとしてボース凝縮体のダイナミクスを解明するためには,数・形状・運動方向の全てが良く制御(ウェルコントロール)された量子渦発生法を実現し,量子渦同士の衝突実験の直接観察が必要となる.渦輪は自身でドーナツ状に閉じた形状を持ち自己誘導速度で等速直線運動を行う.本研究の目的は,ウェルコントロールな量子渦である量子渦輪を超流動ヘリウム4中に発生できる量子渦輪発生器を開発し,ボース凝縮体のダイナミクスの実験的研究に対し新たなアプローチを開拓することである.
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は超流動ヘリウム4中にサイズ,数,運動方向を制御した量子渦輪を発生できる量子渦輪発生器を開発し,量子渦のダイナミクスを実験的に解明する新たな研究手段を実現することである.内径φ0.1 mm程度のノズルからパルス的に超流動ヘリウムを噴出させることで,サイズ,数,運動方向の3つ全てを制御することを最終目的とする.超流動ヘリウムのパルス的噴出機構には圧電振動板を用いる.これまでの研究により,ノズル径φ0.3 mmの量子渦輪発生器を超流動ヘリウム(1.32 K)中に浸し圧電振動板を駆動すると,ある閾値以上の励起電圧で圧電振動板の振動振幅やQ値が大きく減少することを見出した.これらの現象は常流動ヘリウム中では観測されないことから,量子渦輪もしくは量子渦の励起に起因する現象であると考えている.2023年度はノズル径のより小さな内径φ0.2 mm,φ0.1mmノズルでもヘルムホルツ共鳴を励起させ同様の現象が観測されるか検証を行った.ノズルの製作は研究室既設のCNC旋盤及びCNCフライス盤を用いて行った.ノズル穴の加工には京セラ株式会社製ファインマイクロドリルを用い,ノズル長は孔径と同程度とした.孔径φ0.2 mm,φ0.1mmのノズルとも,装置形状から期待される共鳴周波数でヘルムホルツ共鳴を観測することができた.超流動ヘリウム中におけるヘルムホルツ共鳴の励起電圧依存性も,孔径φ0.3 mmのノズルでの結果と同様に励起電圧の増加とともに共鳴振幅がなまる傾向を観測した.ただし孔径φ0.2 mm,φ0.1mmのノズルとも共鳴が小さいため信号ノイズが大きく,定量的な議論には至らなかった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の研究計画では,量子渦輪発生器に用いるノズルのデザインを検討し,内径φ0.2 mm,φ0.1mmのノズルでも充分ヘルムホルツ共鳴を励起できる条件の探索を計画していた.研究実績の概要で述べたとおり,内径φ0.2 mm,φ0.1mmのノズルでもヘルムホルツ共鳴を観測できることを明らかにしたが,これまで見出してきた内径φ0.3 mm以上のノズルでの信号に比べ非常に小さく,定量的な議論を行えなかった.この点を鑑み,進捗状況をやや遅れていると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究では,内径φ0.2 mm,φ0.1mmのノズルをもつ量子渦輪発生器でもヘルムホルツ共鳴を励起できることを見出したが,ともに共鳴が小さいため信号ノイズが大きく定量的な議論には至らなかった.今後まず,測定系の回路を見直すことで信号ノイズを抑え,定量的な議論を行えるデータを得ることを目指す.
|