研究課題/領域番号 |
23K03307
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野村 悠祐 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (20793756)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 人工ニューラルネットワーク / 量子多体系 / 機械学習 / 量子物性 / 量子技術 / 量子データ / 物質科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、人工ニューラルネットワークやテンソルネットワークなどの高次元データ圧縮技術を用いて、膨大な情報量を持つ量子データを古典情報に“埋め込む”技術を開発・促進する。特に、量子データ表現に対する人工ニューラルネットワークの学理の基礎研究を通じて、テンソルネットワークとの詳細比較を行い、その先には両ネットワークの融合まで見据えた新しい表現手法を開拓する。本手法の開発・応用を通じて、量子多体物性の革新的理解とそれを通じた次世代マテリアル開発、量子技術推進への道を拓く。
|
研究実績の概要 |
本プロジェクトは、量子多体系や量子回路などの量子状態を古典コンピュータで表現するための手法開発・応用を目指すプロジェクトである。重要な開発目標として、1. より高精度な量子状態表現を目指す、2. これまでの量子状態表現の適用の幅を広げる、の2点が挙げられる。以下それぞれの成果について述べる。
1. 大規模言語モデルで使用されるトランスフォーマーはアテンション機構を搭載しており、文字列の中で関連の高い単語が離れた場所にあってもその相関を効果的に取り込めることがわかっている。これを量子状態表現に用いると、これまで困難であった長距離の量子相関を効果的に取り込むことができることが期待される。この期待のもと、実際にトランスフォーマー型の量子状態表現手法を実装することによって、1次元の量子スピンが相互作用する系における量子状態を非常に高精度に近似できることがわかった。
2. 通常の量子状態の表現手法の適用範囲は絶対零度における量子状態の表現に限られている。本年度はその適用範囲の拡大に着手した。具体的には、純粋化という概念と組み合わせることによって、有限温度の量子状態の表現を可能にし、有限温度における動的な相関関数(動的スピン構造因子)などを計算できるような手法の開発に成功した。実際の量子多体系に対する実験は、常に有限温度で物理量が測定されるため、実験の結果と比較する上でも有限温度における動的な相関関数の計算を可能にすることは重要となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
トランスフォーマー型の量子状態表現は当初想定していなかったものであり、当初の計画以上に手法開発が進んでいる状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
開発したトランスフォーマー型の量子状態表現手法を2次元に拡張する。有限温度計算に関しては、その手法を動的平均場理論の不純物問題を解析するために使用することで、動的平均場理論の計算手法の高度化を目指す。
|