研究課題/領域番号 |
23K03330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
久保 勝規 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (50391272)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ワイル半金属 / 端状態 / ラシュバ型スピン軌道相互作用 / 強相関電子系 / 物性理論 / スピン軌道相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、トポロジカルなバンド構造など、スピン軌道相互作用に起因する物性が盛んに研究されている。本研究では、スピン軌道相互作用を、電子間のクーロン相互作用によって実効的に大きくする可能性を理論的に探索する。もし、このスピン軌道相互作用の増強効果を大きくすることが出来れば、スピン軌道相互作用に起因する物理現象をより容易に実現できるようになり、その研究を発展させることができる。
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研究実績の概要 |
本研究では、スピン軌道相互作用のある系の強相関効果、特に電子間相互作用がスピン軌道相互作用に及ぼす効果について調べている。 本年度は、ラシュバ型スピン軌道相互作用のある系の強相関効果を明らかにするために、ラシュバ・ハバードモデルを調べた。 ヘテロ構造の界面など、反転対称性の破れた2次元電子系においては、ラシュバ型スピン軌道相互作用と呼ばれる、運動量に依存したスピン軌道相互作用が現れる。これまで、スピントランジスタの提案など、ラシュバ型スピン軌道相互作用を利用した現象について多くの研究がなされてきた。しかし、それらの研究は主に1電子状態を考慮したものであり、電子間のクーロン相互作用の影響についてはあまり研究がされていなかった。そこで、本研究ではラシュバ型スピン軌道相互作用のある系の電子相関効果を調べる。この目的のために考えられる最も簡単な模型は、正方格子上のハバードモデルにラシュバ型スピン軌道相互作用を取り入れたものである。これはラシュバ・ハバードモデルと呼ばれる。 ラシュバ型スピン軌道相互作用がないときは、バンドは2重縮退しているが、ラシュバ型スピン軌道相互作用によりその縮退は解ける。ただし、時間反転不変な運動量では縮退は解けず、これらの周りでエネルギー分散は線形となる。これらの点はワイル点と呼ばれる。 我々は、変分モンテカルロ法を用いて、このモデルの強相関効果を調べた。その結果、先行研究と同様に、ラシュバ型スピン軌道相互作用が小さい領域では、ラシュバ型スピン軌道相互作用は金属状態を安定化することを確認した。それに加えて、ラシュバ型スピン軌道相互作用が大きい領域では、電子相関によってワイル点がフェルミ準位近傍に移動し、ワイル半金属状態が安定化することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画どおりに、ラシュバ・ハバードモデルについて、変分モンテカルロ法を用いた計算を行った。その結果、強相関効果によってワイル半金属状態が安定化しうることを明らかにした。以上から、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により、ラシュバ系のトポロジカルな性質の一端が明らかになった。そこで、関連する強相関電子系として、多軌道系に対象を拡げ、その電子状態、特にそのトポロジカルな性質を調べる。
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