研究課題/領域番号 |
23K03336
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
冨田 成夫 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30375406)
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研究分担者 |
志岐 成友 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (50342796)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 放射線損傷 / 解離性電子捕獲 / 超伝導検出器 / コンボイ電子 / 生物学的効果比 / 解離性電子付着 / 静電型イオン蓄積リング |
研究開始時の研究の概要 |
放射線によるDNA損傷はがん治療や放射線育種などで盛んに利用されており,今後のさらなる応用や発展の可能性を広げるためには分子レベルでの素過程の理解が非常に重要であ る。 本研究では X線,陽子線,重粒子線などの線種による効果(生物学的効果比:RBE)の原因について,解離性電子捕獲機構に注目し,その反応生成物の特定を行い,反応機構の解明を行うため,静電型イオン蓄積リングに超伝導検出器を導入する。これにより,物質内で入射粒子と同速で移動する電子(コンボイ電子)収量と組み合わせることにより,生物学的効果比におけるコンボイ電子による解離性電子捕獲の寄与についての知見を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
放射線によるDNA損傷はがん治療や放射線育種などで盛んに利用されており,今後のさらなる応用や発展の可能性を広げるためには分子レベルでの素過程の理解が非常に重要である。 本研究ではX線,陽子線,重粒子線などの線種による効果(生物学的効果比:RBE)の原因について,解離性電子捕獲機構に注目し,その反応生成物の特定を行い,反応機構の解明を行うため,静電型イオン蓄積リングに超伝導検出器を導入する。これにより,物質内で入射粒子と同速で移動する電子(コンボイ電子)収量と組み合わせることにより,生物学的効果比におけるコンボイ電子による解離性電子捕獲の寄与についての知見を得ることを目的とする。 2023年度は主に超伝導検出器を実装するためのクライオスタットの整備と,超伝導検出器を用いたタンパク質イオンの解離性電子捕獲過程の測定を行うための静電型イオン蓄積リングの整備を中心に研究を行った。 クライオスタットはHeのリーク箇所を特定,修理を施し,4Heを充填し,冷却テストの結果,検出器を実装した状態で,0.7Kに到達することを確認した。現在,1K測定用素子を実装し,粒子入射テスト実施直前の状態である。また,超伝導検出器の開発として吸収体を用いることによる有感面積の拡大,および,ノイズの除去について従来の素子を用いた粒子検出実験も実施した。 静電型イオン蓄積リングを稼働状態とし,光励起,電子衝突のいずれの実験も実施できる状態にした。超伝導検出器開発中はMCPを用いて反応生成物に関する実験結果を出すため,検出回路系の見直し,およびデータ収集系の改良をおこなった。 また,コンボイ電子に関して,高速分子入射におけるコンボイ電子生成について実験を行い,それらの成果について学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
静電型イオン蓄積リングでのMCPを用いた実験は当初の計画より遅れている。これは静電型イオン蓄積リングにおいて,ポンプやレーザー,制御機器などの故障のためである。また,超伝導検出器のクライオスタットの整備に時間を要したが,4Heでの冷却には成功し,1Kでの超伝導検出器のテストは実施直前であり,こちらに関してはほぼ計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は静電型イオン蓄積リングでの予備実験を優先し,MCPを用いた大まかな質量分析の可能性について実験を行う。予定していたようにタンパク質イオンの解離性電子捕獲についての実験のほか,関連する分子についての実験を光励起も併用して,実験をおこなう。 これにともない,当初の計画では2年目において超伝導検出器を静電型イオン蓄積リングに導入することを予定していたが,3年目に繰り越し,現状の装置で実施できる解離実験を行うとともに,同期間に超伝導検出器のテストを十分に行うことを考えている。
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