研究課題/領域番号 |
23K03351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
西尾 憲吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (70443207)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ガラス / 中距離秩序 / 五重双晶 / Laves相 / 過冷却液体 / 液相温度 / 不規則構造 |
研究開始時の研究の概要 |
ガラスは液体を急冷して結晶化を回避することで得られるが、長距離に渡る繰り返し構造を持たない過冷却液体やガラスの原子配列を理解することは困難で物理学の長年の課題である。本研究はガラス形成材料のモデルとして有名な二成分Lennard-Jones系を対象に、結晶に類似した中距離秩序(最隣接原子間距離の数倍の距離に渡る規則的な原子配列)が過冷却液体やガラスに存在するかどうかを調査する。
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研究実績の概要 |
(1)結晶に類似した中距離秩序がガラス中に存在するのかどうかを、混合比1:1のWahnstromモデル(Lennard-Jonesポテンシャルで相互作用する大小二種類の原子からなる系)を用いて調べた。分子動力学シミュレーションを用いて液体を急冷してガラスを作成し、得られたガラスの中距離秩序を多面体コードを用いて調べた。その結果、5つのMgCu2型Laves結晶からなる五重双晶の中心部分に類似した中距離秩序がガラス中に存在することを明らかにした。Laves結晶はCr、Cu、Fe、Mg、Nb、Ni、Ti、Zr系合金などがとる構造であるため、本研究で見いだされた五重双晶状中距離秩序は様々な種類の合金ガラスに共通する構造だと予想を立てることができる。結晶の並進対称性と相いれないことから五重双晶状中距離秩序はガラスの安定化に寄与する可能性がある。一方で、局所的な結晶構造を含んでいることからガラスの結晶化を促進する可能性もある。五重双晶状中距離秩序とガラスの安定性の関係を明らかにすることは、本研究成果により生み出された将来の課題である。 (2)過冷却液体は当該研究課題の研究対象の一つであるが、過冷却液体とは液相温度(均一な液体が安定に存在できる温度の最小値で、この温度より低い液体を長時間アニールすると液体と結晶に相分離してしまう)よりも低い温度で準安定に存在する均一な液体である。液相温度が既知であれば液体の過冷却度を決定できるが、Wahnstromモデルの液相温度は決定されていなかった。そこで、過冷却液体の中距離秩序を調べるための準備として、液体と結晶が共存する条件で分子動力学シミュレーションを実行して、液相温度の混合比依存性を計算した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
五重双晶状中距離秩序がWahnstrom系のガラスに存在することを見出して論文で発表した。Wahnstrom系の液相温度の混合比依存性を計算して論文で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に計算した液相温度の混合比依存性を用いて、過冷却度や混合比によって液体の中距離秩序がどのように変化するのかを調べる。
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