• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

カイラルなゲージ理論のダイナミクスの非摂動論的な研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K03382
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
研究機関東京大学

研究代表者

村山 斉  東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (20222341)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード超対称性 / ゲージ理論 / アノマリー媒介機構 / 対称性の破れ
研究開始時の研究の概要

本提案では、カイラルなゲージ理論のダイナミクスを明らかにすることを目指す。これは今まではタンブリング仮説といったような憶測に基づく予想しかなく、数値シミュレーションでも不可能な目標であった。研究代表者は昨年超対称性を持つゲージ理論をアノマリー媒介機構で破ることで超対称性を持たないゲージ理論の厳密解を求める手法を提案した。これによって、南部陽一郎のノーベル賞理論であるカイラル対称性の破れや、磁気モノポールの凝縮によるクォークの閉じ込めについて解析的手法で示すことに成功した。ここではその手法をカイラルなゲージ理論に応用し、その対称性の破れや質量のないフェルミオンの存在について具体的に調べていく。

研究実績の概要

本提案では、カイラルなゲージ理論のダイナミクスを明らかにすることを目指している。これまではタンブリング仮説といったような憶測に基づく予想しかなく、数値シミュレーションでも不可能な目標であった。研究代表者は、超対称性を持つゲージ理論をアノマリー媒介機構で破ることで、超対称性を持たないゲージ理論の厳密解を求める手法の提案に既に至っている。これによって、南部陽一郎のノーベル賞理論であるカイラル対称性の破れや、磁気モノポールの凝縮によるクォークの閉じ込めについて解析的手法で示すことに成功した。ここではその手法をカイラルなゲージ理論に応用し、その対称性の破れや質量のないフェルミオンの存在について具体的に検証を進めている。
初年度具体的には、近い将来数値シミュレーションが実現する可能性があるSO(10)のゲージ理論で、物質粒子が16次元のスピノル表現になっている場合を検証した。これはアノマリーがない最も小さな単純群であり、菊川が既に格子状での具体的な定式化を提案している。16次元表現のフェルミオンがNf個あるとグローバルな対称性としてSU(Nf)があるが、Nf=1の場合は超対称性をダイナミカルに破ることをすでに昔の論文で示している。Nf=2,3の場合は超対称性がある極限では真空がなく、runawayの振る舞いをすることは知られていた。これにアノマリー媒介機構で超対称性の破れを導入すると、Nf=2の場合はSU(2)対称性は破れない真空となり、Nf=3の場合はSU(3)対称性がSO(3)に破れることがわかった。この結果はanomaly matchingの要請を満たしている。論文を投稿し査読中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

一番小さなSO(10)の模型についてはすでに結果をだしており、論文が査読中である。加えてHamiltonian truncationを用いて散乱振幅を非摂動論的に求めることに成功した論文も出版した。これはカイラルなゲージ理論ではなく3次元のO(N)模型であるが、Wilson-Fisher fixed pointがあり、摂動論では解析ができない。一方N→∞の極限では厳密解が知られている。Hamiltonian truncationではHilbert空間の低エネルギー状態から有限この状態だけを足しあげることで真空を求めることができるが、この論文では初めて散乱振幅に適用し、数値的に解析することで、厳密解を非常によく再現することを示した。

今後の研究の推進方策

コーネル大学のCsaba Csakiらとの共同研究で既に厳密解を得たSU(Nc)の理論で反対称テンソルと反基本表現がある理論に、更にvector-likeな基本表現と反基本表現の対を導入した理論について、厳密解を求めていく。この手法で一番の問題は、超対称性の破れを徐々に大きくしていった時に、ゲージ理論のダイナミカルなエネルギスケールを超えるときに相転移があるかもしれないことである。相転移があると理論のuniversality class、つまりグローバル対称性の破れと質量のない自由度の情報が変化してしまい、超対称性の破れがわずかである極限と、超対称性が全くない極限が連続的に結び付かなくなる。この問題については、更に研究が進んでいるQCDの場合を用いてさらに深く調べることで、どのような場合に相転移があるのか、一般的な評価基準を得ることを目指す。
また、SO(10)に続き一つランクが高い理論として、E6に27次元表現のフェルミオンを入れた模型を考察する。この場合、特に興味があるのはNf=3の場合で、273のmassless複合フェルミオンが存在し、SU(3)対称性のanomaly matchingを満たす可能性がある。SU(3)対称性が破れるのか、破れないのか、調べ始めている。D-flatなモデュライ空間を解析的に見つけることが難しいが、機械学習を用いて数値的に研究を進めている。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (20件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 9件、 招待講演 9件) 備考 (4件)

  • [国際共同研究] カリフォルニア大学バークレー校/ローレンス・バークレー国立研究所/コーネル大学(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] ジュネーブ大学(スイス)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] シェフィールド大学(英国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] 西部オーストラリア大学/スインバン大学(オーストラリア)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] ドイツ電子シンクロトロン(ドイツ)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Search for a Dark-Matter-Induced Cosmic Axion Background with ADMX2023

    • 著者名/発表者名
      Nitta T.、Braine T.、Du N.、Guzzetti M.、Hanretty C.、Leum G.、et al.(incl.Murayama H) ADMX Collaboration
    • 雑誌名

      Physical Review Letters

      巻: 131 号: 10 ページ: 1-9

    • DOI

      10.1103/physrevlett.131.101002

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Towards a nonperturbative construction of the S-matrix2023

    • 著者名/発表者名
      Henning Brian、Murayama Hitoshi、Riva Francesco、Thompson Jedidiah O.、Walters Matthew T.
    • 雑誌名

      Journal of High Energy Physics

      巻: 2023 号: 5 ページ: 1-28

    • DOI

      10.1007/jhep05(2023)197

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Physics Vision2024

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Murayama
    • 学会等名
      Aspen Winter Conference " The Future of High Energy Physics: A New Generation, A New Vision"
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Particle Physics for the Next Ten Years2024

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Murayama
    • 学会等名
      Maryland Colloquium
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Particle Physics for the Next Ten Years2024

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Murayama
    • 学会等名
      SLAC Colloquium
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Particle Physics for the Next Ten Years2024

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Murayama
    • 学会等名
      CERN Colloquium
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Particle Physics for the Next Ten Years2024

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Murayama
    • 学会等名
      University of Florida PHYSICS COLLOQUIUM
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Pathways to Innovation and Discovery in Particle Physics2023

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Murayama
    • 学会等名
      Fermilab Town Hall meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Regional perspectives2023

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Murayama
    • 学会等名
      ICFA Seminar on Future Perspective in High Energy Physics
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Input from the US2023

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Murayama
    • 学会等名
      The 2023 International Workshop on Circular Electron Positron Collider (CEPC Workshop)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] How SUSY helps to understand dynamics of gauge theories2023

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Murayama
    • 学会等名
      SUSY 50
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] カブリ数物連携宇宙研究機構

    • URL

      https://db.ipmu.jp/member/personal/17ja.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] カリフォルニア大学バークレー校物理学教室

    • URL

      https://physics.berkeley.edu/people/faculty/hitoshi-murayama

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] PFS プロジェクト

    • URL

      https://pfs.ipmu.jp/blog/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 学術変革「ダークマター」

    • URL

      https://member.ipmu.jp/DarkMatter/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi