研究課題/領域番号 |
23K03384
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
青木 真由美 金沢大学, 数物科学系, 教授 (70425601)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 素粒子論 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙の物質・反物質非対称性を説明する試みの一つとして、電弱スケールにおける強い一次相転移を用いた電弱バリオン数生成機構が知られている。標準模型では一次相転移は実現しないが、拡張模型では実現し、この機構が働く可能性が考えられる。一方、バリオン数生成にはCP対称性(C:荷電変換の不変性、P:パリティ変換不変性)の破れも必要であるが、その場合のシグナルとなる電気双極子能率は観測されていない。そこで本研究では、電弱スケールではCPが顕著に破れているが、現在の宇宙では電気双極子能率が十分抑制されるような拡張模型における相転移シナリオを提案し、物質・反物質非対称性の問題解決を試みる。
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研究実績の概要 |
現在の宇宙には物質が反物質よりもはるかに多く存在しており、どのようにしてそのようなバリオン数の非対称性が生じたのかは大きな謎となっている。バリオン数非対称性を生成するためには、バリオン数の破れ、C、CP対称性の破れ(C:荷電共役、P:パリティ変換)、熱平衡状態からの逸脱の3つの条件が必要である。電弱バリオン数生成機構では、熱平衡状態からの逸脱は電弱対称性の破れに伴う相転移が強い一次的であれば満たされる。標準模型では電弱相転移はクロスオーバーになり、さらにCPの破れの大きさも十分ではないことから、電弱バリオン数生成機構を働かせるためには標準模型の拡張が必要となる。特に、スカラーセクターの拡張は一次相転移を実現しやすくするため有望である。一方、CPの破れに対しては、電気双極子モーメント(EDM)探査実験が非常に厳しい制限を与えている。電弱バリオン数生成機構で十分なバリオン数を得るために必要なCPの破れは、実験結果と矛盾する大きなEDMを容易に予言しうることから、何らかの方法でそれを避ける必要がある。 本研究では、新たなスカラー場を導入した拡張模型において、電弱相転移が2ステップで起こりその途中段階でのみCP対称性が破れる場合を考え、そこで電弱バリオン数生成機構がはたらく可能性を議論した。まず単純化した簡単な模型において解析した結果、2回目の相転移において十分なバリオン数非対称性が生成されうることがわかった。さらに、いくつかの具体的な拡張模型においてもマルチステップ電弱相転移におけるバリオン数生成の可能性を議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マルチステップ電弱相転移における電弱バリオン数生成機構の新たな可能性について論文をまとめ、査読付き雑誌にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
暗黒物質を含む暗黒セクターを伴う模型におけるCPの破れについて研究を進めていく。
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