研究課題/領域番号 |
23K03387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大野木 哲也 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (70211802)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | Domain-wall fermion / Symmetric gapping / 一般相対論 / 保存量 / ドメインウォール フェルミオン / 量子異常 / カイラル対称性 / ゲージ理論 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、トポロジカル絶縁体におけるバルク・エッジ対応が量子異常の相殺と等価なことが指摘され新しい展開を見せている。相殺機構の鍵を握るAPS指数定理は実際の物理系と直接には関係なく、なぜこれがトポロジカル絶縁体の性質と関係するのか不明であった。本研究の中心をなすのは、研究代表者が共同研究者とともに独自に提案したドメインウォールフェルミオンを用いた指数定理の再定式化というアイデアである。これにより我々は対象とするギャップのある系に根ざした設定で直接に指数定理に新しい証明を与えた。本研究では、量子異常および指数定理を、様々な次元や対称性のある場合に拡張し、その応用を目指すものである。
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研究実績の概要 |
我々は、青木慎也氏と山岡起也氏との共同研究で、一般相対性理論におけるアインシュタインの擬似 EMT、一般化Komar積分、ADM エネルギーを含むさまざまな物質のエネルギー運動量テンソルを用いた保存量間の関係を調べた。我々は、自由なmassive particleの系にポストニュートン 展開を用いてそれぞれの定義がどのような物理量に対応するかを調べた。その結果、一般化Komar積分は、空間境界での寄与がゼロではないため、PN 展開の自明でない最初の次数では保存されないこと、この次数でのアインシュタインの擬テンソルのエネルギーはニュートン重力理論での質量粒子の全エネルギーと一致し、かつポストニュートン展開すべての次数でADM エネルギーと同一であることがわかった。一方、我々の提唱する新たな保存量はすべての次数でmassive particle系の粒子数であることがわかった。 格子上のカイラルゲージ理論の構成法であるDomain-wall fermionのミラーフェルミオンのSymmetric Gapping についてgapping 相互作用に必要な条件を検討した。1) gapping 相互作用がない場合に存在する対称性のbulk anomalyがゼロ出ない場合、その対称性をgapping 相互作用が壊す必要がある。2) dynamical なゲージ場に対してinstanton saturation を満たすgapping 相互作用を導入する必要がある。この考え方を一般化対称性に拡張するため、大学院生の山岡氏、和田氏と共同でカイラルゲージ理論の't Hooft anomalyの研究を行った。自己複素共役な表現のフェルミオンにおけるSU(6)ゲージ理論の一般化対称性の't Hooft anomalyを調べ、それを再現する有効理論の構成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々の提唱する一般相対論における新たな保存量はすべての次数でmassive particle系の粒子数であることがわかったという発見は非自明でこれまでに知られている保存量と独立な定義を与える意味で重要である。
またドメインウォールフェルミオンからカイラルゲージ理論についての必要条件を明らかにでき、例えばWang-Wenの3-5-4-0模型はそれを満たしていることが確認できた。こ
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として 一般相対性理論における新たな保存量を高密度天体に応用する。
また、Symmetric gappingの考え方を一般化対称性を含めたものに拡張するため、NfフレーバーQCD、自己複素共役表現のフェルミオンを持つSU(6)ゲージ理論に適用する予定である。
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