研究課題/領域番号 |
23K03388
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
高橋 智彦 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (10324956)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 弦理論 / BRST形式 / 降下方程式 / 閉弦2点振幅 / Virasoro-Shapiro振幅 / 弦の場の理論 / サイン二乗変形 / タキオン真空 / 散乱振幅 |
研究開始時の研究の概要 |
開弦の場の理論におけるタキオン真空解と物性理論におけるサイン二乗変形との関係に基づき、開弦の場の理論における閉弦の新たな記述方法を確立し、そこから理論の構造を理解することによって、膨張宇宙や時空のコンパクト化に関わる閉弦のダイナミクスを明らかにしていく研究である。さらに、弦の場の理論の研究を通じて、弦理論におけるゲージ対称性の構造、弦理論の背後にある指導原理の全容を明らかにし、素粒子物理学における統一理論および重力の量子論の研究を進展させることを目指している。
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研究実績の概要 |
タキオン真空における開弦の場の理論において、ゲージ不変量の相関関数の計算手法を確立するための準備を行った。このゲージ不変量の相関関数は閉弦散乱振幅に等しいという予想されるため、まず閉弦頂点演算子の閉弦散乱振幅について再考察を行い、以下の結果を得た。 弦理論において、世界面としての複素上半平面に作用するPSL(2,R)対称性のゲージ固定について考察することにより、様々なゴースト数をもつ閉弦頂点演算子を構成した。従来の演算子を拡張したもので、微分形式とゴースト場との対応が明白になる定式化を行った。その結果、様々な閉弦頂点演算子が降下方程式によって関係づけられることが明らかになった。 この研究によって構成できるゴースト数3をもつディラトン頂点演算子を用いて、BRST形式においてディラトン1点関数が導出できることを示した。従来は世界面上の積分として得られるオイラー数の寄与が、局所的な頂点演算子によって与えられることも明らかにした。 降下方程式をみたす閉弦頂点演算子を用いて、今までの研究で提唱した mostly BRST exact演算子との相関関数を計算し、閉弦2点振幅をBRST形式において導出することに成功した。BRST不変性と共形不変性の両方が明白な導出法である点が、本研究の計算手法の特徴となっている。 さらに、閉弦2点振幅の導出法を一般化し、閉弦4点振幅であるVisasoro-Shapiro振幅を導出することにも成功しており、学術論文において出版するための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開弦の場の理論によって閉弦理論を定式化するためには、閉弦理論を従来とは違う視点で眺め、新たな理解を深めることが重要であると考えられる。様々なゴースト数をもつ閉弦頂点演算子や降下方程式を用いた閉弦理論についての考察は、今まで行われてこなかったものであり、このような理解が進んだ点を踏まえて、本研究は順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
Virasoro-Shapiro振幅に関する論文をまとめる作業をまずは行い、閉弦頂点演算子の研究において現れた次の課題について研究を行っていく。(1) 超弦理論において、様々なゴースト数をもつ閉弦頂点演算子を構成し、これらが超対称性をもつ降下方程式の中でどのような関係をもつのかを明らかにする。(2) ゴーストのある特定の組み合わせをもつ頂点演算子はBRST exact状態であると予想できたが、この証明を行う。(3) mostly BRST exact演算子と降下方程式の関係について明らかにし、散乱振幅の計算に適用する。 これらの課題について研究を行いつつ、開弦の場の理論による閉弦理論の定式化を目指す計画である。
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