研究課題/領域番号 |
23K03389
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小嶌 康史 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 名誉教授 (10192577)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 高エネルギー天体現象 / 中性子星 / 磁場 / ブラックホール / 電磁流体力学 |
研究開始時の研究の概要 |
多種多様な中性子星の姿を表す観測が進む中、永年的な磁場進化の理論研究を進めることで、そこで起きる突発変動に関わる臨界現象に至る過程、バーストの頻度、その規模を明確にする。強い磁場を持つ中性子星の変動現象が顕著であり、その記述に関連する磁場進化の研究は未発達の要素も多く、また熱進化にも影響を及ぼすなど、重要な研究課題である。個別の課題の解決は進化モデルの根幹に関わるとともに、中性子星で起きる多様な現象の全体像の把握に至る。研究成果はマグネターのフレアの理論・観測的研究、高速電波バーストなどの未知の天体物理現象の解明や中性子星の内部状態の研究に波及することが期待される。
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研究実績の概要 |
マグネターと呼ばれる、大多数の中性子星のものより、磁場強度が2-3桁上回る天体が存在し、バースト現象などが起こす。逆に、表面の磁場強度は通常のものより弱い中性子星(Central Compact Object)が存在し、そのX線光度は異常に明るい。マグネター級の強い内部磁場が必要とされ、磁場消失に伴うジュール熱で説明される。強い磁場の時間進化はより短時間になり、星表面付近のクラスト(殻)部分に磁場のストレスが徐々に蓄積され、その歪みが固相の弾性限界を超えた時、突発的な構造変化が起きる。これまで、その過程を具体的に理論計算により探ってきた。 磁場形状の差により、突発的な構造変化に至る時間尺度や限界の蓄積エネルギーがどのようになるかを調べた。CCOのモデルで考えられているように、クラスト内部に閉じ込める形状では限界に至る時間は長くなり、CCOではバースト現象は見られないことを示唆する結果を得た。この内容は公表論文として発表した。 また、この数年間、クラスト(殻)部分の弾性力を考慮した、磁気中性子星の力学平衡を研究してきた。より一般的な状況として、クラスト内部のコア(芯)部分と中性子星表面でどの程度の磁場の変化が可能であるかを検討した。その変化が大きい場合、より大きな弾性力が必要になる。観測されているマグネターの歳差運動から、内部には2桁程度強い成分が必要と考えられるが、本研究の結果、その成分はクラスト部分には染み出ることなく内部に保持されている必要がある。この内容も公表論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進んだ。本年度に新たな研究交流も開始するとともに、学会や研究会で成果の報告ができた。
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今後の研究の推進方策 |
進展中の課題がいくつかあり、それを取りまとめる計画である。具体的には中性子星の殻部分の弾性応力が磁場の変動にいかに応答するか、温度分布の揺らぎから生じる、微小な星の歪みを検討している。その他に、研究会等で他の研究者との有意義な議論の機会を利用して、さらなる研究の発展を目指す。また、学会等の口頭での成果発表や公表論文を執筆する。
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