研究課題/領域番号 |
23K03390
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 公立諏訪東京理科大学 |
研究代表者 |
白石 希典 公立諏訪東京理科大学, 工学部 共通・マネジメント教育センター, 准教授 (00803446)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | インフレーション / アクシオン / ゲージ場 / 宇宙マイクロ波背景放射(CMB) / 銀河 / パリティ非対称性 / 非等方性 / 非ガウス性 / 宇宙論的アノマリー / CMB / 重力波 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、インフレーション中におけるゲージ場の存在可否と存在可能な場合はその性質を明らかにすることにある。そのために、宇宙論統計量に現れるゲージ場由来のアノマリーの理論予測、多波長宇宙観測データを用いたその検証、という理論、観測双方向からのアプローチを行う。これが達成されれば、インフレーション時のダイナミクスや真空構造に対する新たな知見が得られ、宇宙の始まりという人類史上最大級の謎の解明につながる。
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研究実績の概要 |
本研究では、「宇宙論的アノマリー = パリティ非対称性・非等方性・非ガウス性など通常とは異なる性質」を指標とし、(1)理論、(2)観測双方向からのアプローチによって原始宇宙の粒子描像を探索する。以下が本年度の研究成果である。 (1)に関して: 未発見粒子であるゲージ場が原始宇宙に存在すると、重力場の分布に非等方性が生じる。それによって銀河密度・速度・形状場相関関数に特有の歪みが現れることを、詳細な計算により明らかにした。また、この効果はゲージ場を起源とする大スケール宇宙磁場の強力なプローブになることを示した。 (2)に関して: 未発見粒子であるアクシオンが原始宇宙に存在すると、パリティ対称性やガウス性を大きく破る重力波が生成される。ESA Planck衛星の得た宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度・E/Bモード偏光場データから重力波のパリティ・ガウス性検定を行い、アクシオンの性質に制約を得た。Bモード偏光場を用いた重力波のガウス性検定は本研究で世界に先駆けて行ったものである。また、JAXA LiteBIRD衛星によるBモード偏光場の将来観測によって、重力波の測定精度がいかに向上するか、それによって原始宇宙の情報がどこまで詳細に得られるか、推定した。 上記の成果はすでに複数の論文にまとめ、世界に公表している。また、重力の宇宙論的探査に関する総説論文も出版しており、反響を得ている。これらを今後の研究で発展させ、原始宇宙の包括的理解を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、(1)の理論的研究のみを行う計画であったが、それは滞りなく進み、かつ(2)の観測的研究の進展もあった。さらに、次年度以降に行うテーマについてもすでに研究を進めている。上記の進捗状況から、当初の計画以上に研究が進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)に関しては、ゲージ場が宇宙磁場に転化したシナリオやアクシオンの存在するモデルにおいて、観測量の非ガウス性を推定し、その検出可能性を議論する。 (2)に関しては、種々のシナリオやモデルが予言する非ガウス信号を、CMB温度・E/Bモード偏光場の3,4点相関関数を用いて徹底検証する。 各々のプロジェクトが完成次第、順次論文にまとめ、世界に公表していく。また、関連する新たなプロジェクトの発掘に努め、それに挑戦していく。
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