研究課題/領域番号 |
23K03402
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
瀬戸 治 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (40547741)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 暗黒物質 / 不活性ニュートリノ / 極弱ゲージ相互作用 / バリオン数非対称性 |
研究開始時の研究の概要 |
非常に弱いU(1)ゲージ相互作用を持つ素粒子模型において、不活性ニュートリノが初期宇宙での散乱によって非熱的に生成されることで、宇宙の暗黒物質であることを整合的に説明することが可能である。本研究では、物質反物質の非対称性の説明可能性と、地上実験での検証可能性を明らかにする。不活性ニュートリノ暗黒物質の存在量を整合的に説明する非常に弱いU(1)ゲージ相互作用を持つ素粒子模型に基づいて素粒子模型の整合的なパラメーター領域を同定し、首尾一貫した宇宙進化シナリオを構築する。
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研究実績の概要 |
不活性ニュートリノは暗黒物質候補であるが、普通のニュートリノとの混合によるニュートリノ振動により暗黒物質を生成する最も単純な模型とシナリオでは、暗黒物質としての残存量を説明することは困難である。しかし、非常に弱く相互作用する中性ゲージ粒子を媒介粒子としてゲージ相互作用をする不活性ニュートリノは、生成過程においてニュートリノ振動を利用しない為この問題を回避出来、暗黒物質として必要な存在量を説明できる。本研究では、この模型の興味深いパラメーター領域を特定し、不活性ニュートリノ暗黒物質の近未来実験での検出可能性の評価を行うことを目的としている。 本年度は、U(1)B-L 模型についてフリーズイン機構でよって生成される暗黒物質の残存量の精密計算を進めた。特に先行研究では見落とされていた B-L 対称性を破るスカラー粒子を媒介する反応を取り入れた。このスカラー粒子は崩壊幅が非常に小さい為に、散乱過程の媒介粒子としてばかりでなく、準安定粒子として取り扱いその粒子数密度もその時間発展を追跡した。その結果、1)無視できるほど小さいと考えられていた生成過程が無視できない寄与をすること、2)非常に弱く相互作用する中性ゲージ粒子による暗黒輻射が過剰生成されない為の条件が先行研究での評価よりも厳しいこと、3)先行研究では非常に重いとして無視されてきた B-L を破るヒッグス粒子を軽い質量領域まで探査するパラメーター領域を拡げて解析したところ、B-L を破るヒッグス粒子媒介する過程が主要な寄与をし、さらに、結果が非自明にB-L を破るヒッグス粒子の質量に依存することを発見した。3)さらに、4)暖かい暗黒物質としての自由流減衰の最新の制限を考慮し、これらを取り入れて暗黒物質残存量のより正確な計算を行い整合的なパラメーター領域を明らかにした。上記の結果を纏めた論文を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、2023年度にバリオン数非対称性生成の研究をする予定であったが、暗黒物質残存量の評価においてこれまで見落とされていた準安定粒子からの崩壊の寄与が無視できないこと発見したため、研究課題を暗黒物質残存量の正確な計算に切り替えたため。
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今後の研究の推進方策 |
暗黒物質の説明できるパラメーター領域が判明した。当初の予定では、バリオン数非対称性生成の研究を予定であったが、FASER 実験が昨年結果を発表する論文を出版し進展しているため、優先順位を切り替え FASER2 実験で探査可能な領域であるパラメーター特定の研究を先に行う。FASER2 実験での長寿命の B-L ゲージ粒子と B-L スカラー粒子崩壊によるの事象数を計算し、実験探索可能なパラメーター領域を明らかにする。
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