研究課題/領域番号 |
23K03421
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
加瀬 竜太郎 東京理科大学, 理学部第二部物理学科, 准教授 (10756406)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ブラックホール / 中性子星 / 重力波 / ブラックホールシャドウ / 拡張重力理論 / 修正重力理論 |
研究開始時の研究の概要 |
一般相対論に新たな物理的自由度を導入することで拡張された重力理論がこれまで数多く提唱されてきた.本研究では,このような重力理論に基づき,ブラックホールや中性子星のような局所天体周りの時空における理論的な安定性の条件を摂動論を用いて導く.更に,摂動方程式を解析的・数値的に積分することでブラックホール準固有振動の周波数や中性子星の潮汐変形率といった重力波に関わる可観測量を求め,最新の観測データと照合することで拡張重力理論の検証を行う.
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研究実績の概要 |
本研究課題は近年発展の著しい重力波観測のデータを用いて,一般相対論とそれを拡張した重力理論の検証を行い,真に正しい重力理論を選別することを目的とする.また,重力波以外にも,ブラックホールシャドウのような強重力領域が関わる物理現象を介した重力理論の選別手法の模索を同時並行で行なっていく. 上記の目的に沿って,2023年度はスカラー自由度やベクトル自由度が導入された理論におけるブラックホール解についての研究を行った.1) スカラー自由度を導入した重力理論であるHorndeski理論に関して,ベクトル自由度によって記述される電磁場とスカラー自由度の最も簡潔な結合を導入したHorndesk-Maxwell理論に基づいたブラックホール摂動論についての研究を行った.次に,2) 前述のスカラー自由度とベクトル自由度の結合をより一般化したScalar-Vector-Tensor(SVT)理論に関してブラックホール摂動論を展開し安定なブラックホール解が存在するために必要となる汎用的な条件を導いた.また,3) 帯電ブラックホールとして最もシンプルなReissner‐Nordstrom解についてブラックホールシャドウの観測データを用い,先行研究ではphoton ringに基づいた電荷への観測的制限が導かれているが,lensing ringに基づいて解析を行った場合にはこの制限が緩和されることを示した.更に,4) ここまでの研究では帯電ブラックホールを前提としていたが,SVT理論の最もシンプルなサブクラスに基づき,電荷ではなく磁荷を導入した場合には新規なブラックホール解が得られることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」について述べた1)-4)の研究については論文としてまとめ投稿済みである.1)については既にPHYSICAL REVIEW D誌に掲載されている.2)-4)については年度末から年度初めにかけて投稿しており,現在は査読プロセスにある.以上のことから,本研究課題は当初予定と比較しておおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として,第一にスカラー自由度やベクトル自由度を含む様々な重力理論に基づいてブラックホール摂動論を展開し,汎用性の高い理論的安定性条件を導くことで,安定なブラックホール解を持つことができる理論模型の選別を推し進めていく.現在観測されている重力波はブラックホールや中性子星の連星系の合体現象によって放出されたものであるため,まずは個々の理論が安定なブラックホール解を持つか否かを判別していくことが必要不可欠である.次のステップとして安定なブラックホール解を持つ理論に着目し,前段階で導いた摂動方程式を解析的・数値的に積分することでブラックホール準固有振動といった重力波に関わる可観測量を求め,最新の観測データと照合することで拡張重力理論の検証を推進する.一方,連星ブラックホールの合体の瞬間といった非線形性が強くなる領域はブラックホール摂動論の適用限界を超えており,実際に観測されている合体時に放出される重力波の波形との比較を行うためには数値相対論を用いた連星ブラックホールの合体シミュレーションが必要となる.今後確実に重要となる数値相対論分野について必要な知識をいち早く取り入れ環境を整えた上で開拓を行なっていく必要がある.他方,ブラックホールシャドウの観測データを用いた拡張重力理論に対する観測的制限は,重力波観測とは独立した制限を与えることから,今後観測の精度が上がるにつれより一層重要性を増していく.よって,このトピックについても引き続き研究を推進していく.
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