研究課題/領域番号 |
23K03428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
新谷 栄悟 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (70447225)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 素粒子論 / 格子QCD / ミュー粒子g-2 |
研究開始時の研究の概要 |
格子QCDを用いたミュー粒子異常磁気能率(g-2)の精密計算を実施して、実験値と直接的に比較することで新物理の兆候を確実にする。特に理論計算において不確実性が依然大きい真空偏極ダイアグラムに代表されるQCD寄与について第一原理計算を用いることで有効モデルを介さない厳密な理論計算を実施する。これまでの格子QCD計算においてもその特有の系統誤差が存在するため精度的に不十分であったため、本研究では筑波大学格子QCDグループとのプロジェクトとして大規模な数値計算を実行することでその精度を大幅に改善することを目的とする。
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研究実績の概要 |
令和5年度では、ミュー粒子g-2の主要なQCD寄与について格子QCDを用いた評価方法の理論的な開発を行った。これまでの研究成果では、格子サイズ160^4を用いて格子化誤差の評価を行っていたが、さらに格子間隔が小さいゲージ配位を用いた計算を実施することで、過去の計算結果と合わせて連続極限をとった最終結果を導くことが可能となる。このゲージ配位の格子サイズは256^4となっているため、大規模な数値計算が必要とされる。本研究で得られる計算結果は、格子QCDとしては初めて格子サイズが10fmを超える大規模計算で連続極限がとれる。このことは、格子QCDの結果が、有限体積効果など系統誤差を極力抑えた高精度の計算結果が期待される。 大型計算機を用いた大規模計算の実施のための準備として、数値計算用のプログラム開発とそのテスト計算を理化学研究所にある「富岳」を用いて行った。ここで目標とする計算は格子体積256^4の格子QCD計算であり、「富岳」における計算プログラムの高度化が重要となる。まず、ゲージ配位読み込み時間を改善するためのプログラム改良を行って、100倍以上の高速化を実現した。当該年度の開発結果によって、目標の計算実行を短期間に実行することが確認できたため、今後の研究計画や早期の結果発表を行う上で非常に有意義である。また、実際の数値計算を「富岳」上で実施するための計算資源確保のための資料準備やそのための解析も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り数値計算実施のための準備がほぼ整った。また、そのための計算資源確保も順調に進んでおり、ほぼ計画どおりである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当該年度で開発したプログラムを用いて「富岳」上で目標となる256^4格子の格子QCD計算を実行する。計算結果について定期的に共同研究者とも打ち合わせを行い、研究目標であるミュー粒子g-2の主要QCD寄与の決定に向けて、加速的に推進する。とくに次年度では連続極限を求めることを目標として、その解析と論文化を目指していく。
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