研究課題/領域番号 |
23K03431
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西畑 洸希 九州大学, 理学研究院, 助教 (00782004)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 不安定原子核 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、スピンの向き揃った(スピン偏極した)独自の核分光学的手法を用いて中性子過剰原子核の構造を研究する。特に、スピン偏極した不安定Mg原子核を用いて中性子数が20付近の中性子過剰なAl原子核の励起状態の構造を調べ、得られた準位構造ごとに理論計算と詳細に比較する。その比較を通して、中性子過剰な原子核領域の構造について新たな知見を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、中性子が極端に多い(中性子過剰な)Al原子核の励起状態における特異な構造を研究するために、スピン偏極したMg-33ビームを用いた核分光学的手法により中性過剰なAl-33の励起状態の構造を詳細に調べることを目的としている。 本年度は、まずAl-33構造解明実験のために使用するGe検出器及びプラスチックシンチレータのテストを実施した。プラスチックシンチレータにおいては、ライトガイドの再設計、光電子増倍管の変更および磁気シールドの強化を行い、実際の測定環境である10 Gauss程度の磁場環境下で利用できることを確認した。また、データ収集効率化のためにこれまで用いてきたCAMACベースとしたデータ収集系からVMEをベースとしたものに移行した。 TRIUMF研究所におけるAl-33の実験のためのビームタイムが本年度12月に配分されることとなり、その実験に向けて9月に2週間程度滞在し準備を行なった。9月には中性子検出器サポートフレームの組み立て・配置及び検出器の配置・動作テスト、データ収集システムの立ち上げを行なった。また、11月から12月にかけてさらに2週間程度TRIUMF研究所に滞在し、回路調整や標準線源を用いた検出器の較正など直前準備を行い、ビームタイムを実施した。実験ではMg-33核のスピン偏極生成に成功し、予定通りの統計のデータを収集することができた。得られた結果について、解析を行なっていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では中性子過剰なAl-33の実験実施は2024年度を予定していたが、ビームタイムが今年度配分されることとなり、予定を前倒して今年度実験を実施した。実験ではスピン偏極Mg-33ビームを用いた実験を行い、検出器及びデータ収集系ともに全て予定通り動作し、実験を成功裏に終えることができた。今後は、得られたデータについて解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られたデータの解析を行う予定である。本研究では、ベータ線の放出分布の空間的非対称度とガンマ線・中性子の同時測定により励起状態のスピンを決定する。このために、ガンマ線の測定のために配置したGe検出器のエネルギーおよび時間較正を行う。エネルギー較正には、実験後に取得した標準線源Co-56、Co-60、Eu-152、Cm+Cなどを用いて0.1 MeVから6 MeVまでの範囲の較正式を求める。次に、Ge検出器の前面に配置したプラスチックシンチレータを用いて、Ge検出器に入射したガンマ線およびベータ線の識別を確認する。その後、ベータ線の放出分布の空間的非対称度とガンマ線の同時測定により束縛状態のスピンの決定を行う予定である。得られた解析結果について、適宜国内外の会議で発表を行う予定である。
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