研究課題/領域番号 |
23K03448
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川島 朋尚 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (90750464)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ブラックホール / 一般相対論的輻射輸送 / 高エネルギーニュートリノ / マルチメッセンジャー / 粒子加速 / 降着円盤 / 相対論的ジェット / 一般相対論的輻射輸送計算 / 一般相対論的磁気流体シミュレーション / 降着流・ジェット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、次世代EHTを含む将来の多波長・マルチメッセンジャー観測に向け、超大質量ブラックホール極近傍の降着流と相対論的ジェットの電波からX線・ガンマ線、高エネルギーニュートリノまでの時間変動イメージとスペクトルを解明し、ブラックホールスピン値や相対論的ジェット形成機構に迫る。そのために、3次元一般相対論的磁気流体シミュレーションおよび一般相対論的多波長輻射・ニュートリノ輸送計算を用いる。特に一般相対論的磁気流体場での宇宙線電子・陽子加速も解くことで、レプトン・ハドロン両起源の非熱的輻射過程に加えニュートリノも扱う世界最先端の大局的3次元理論計算の研究を実施する。
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研究実績の概要 |
発見から100年以上謎に包まれている相対論的ジェットの形成機構の解明や、これに強く関係していると考えられているブラックホールのスピン値への制限は宇宙物理における大きな課題である。近い将来、次世代Event Horizon Telescopeによる超高解像度の電波観測やCTA等による高エネルギーガンマ線観測、そしてIceCube gen2等による高エネルギーニュートリノ観測を組み合わせるマルチメッセンジャー観測と理論モデルの比較により、相対論的ジェットの形成機構の解明とブラックホールのスピン値の制限に向けて大きな進展が期待される。これに向けて、一般相対論的効果やブラックホール周囲のプラズマの大局的構造を考慮に入れたマルチメッセンジャー計算は喫緊の課題である。 そこでまず、大局的な構造を持った降着流からの高エネルギー・ニュートリノスペクトルを明らかにするために、一般相対論的な粒子加速・ニュートリノ放射計算コードνRAIKOUを開発した。このコードでは、一般相対論的磁気流体シミュレーションで得られた磁気流体場の流線に沿って宇宙線陽子(tracer particle)の軌道を追いながら、フォッカープランク方程式を解くことで大局的な降着流における様々な宇宙線陽子スペクトルの時間進化を扱える。そして、宇宙線陽子の各時刻・各位置での降着流の熱的陽子とのpp過程によるニュートリノスペクトルを計算する。このとき各放射領域における重力赤方偏移を考慮する。計算の結果、降着流の異なる位置から様々なスペクトル形状のニュートリノが重ね合わされることで、これまでの局所近似の計算結果よりもフラットな形状のスペクトルが現れることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大局的な構造を持った降着流からの高エネルギー・ニュートリノスペクトルを計算することに成功し、論文化を進めている。また、次のステップの研究に必要な、様々なブラックホールスピンや磁場強度の場合の一般相対論的磁気流体シミュレーションについて、いくつかのモデルでの計算が終了し、次の計算の準備も整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
輻射スペクトルやニュートリノスペクトルのブラックホールスピン依存性や降着流のタイプ(主に強磁場・弱磁場降着流)への依存性について調べる。また、ニュートリノ放射過程について、pp過程に加え、pγ過程の計算モジュールを開発し、pγ過程が大局的な計算により得られるスペクトルに与える影響を明らかにする。
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