研究課題/領域番号 |
23K03452
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野本 憲一 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 客員上級科学研究員 (90110676)
|
研究分担者 |
鈴木 知治 中部大学, 人間力創成教育院, 教授 (20280935)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 初代星 / 初代銀河 / 低金属銀河 / 超新星 / 元素合成 |
研究開始時の研究の概要 |
ビッグバン宇宙論における現在の主要な研究課題の一つが、宇宙初期の暗黒時代に終わりを告げる初代星の形成に始まる宇宙の黎明期の進化の解明である。本研究では、初代星の質量関数、進化がどのようなものであったかを解明するために、初代星の超新星爆発による放出物の元素組成の理論モデルを構築する。観測的には、初代銀河の探査として、金属量の低い銀河の観測が進展しており、本研究では、極低金属銀河の元素組成で鉄と酸素の比が大きいものがあることに注目する。大量の鉄の大量生成源として、ガンマ線バーストに付随した極超新星の元素合成を計算し、観測と比較することにより、初代星や極低金属銀河の形成の手がかりを得る。
|
研究実績の概要 |
宇宙初期の暗黒時代がどのように幕開けしたのか、すなわち宇宙の初代星がどのような質量を持って誕生し、どのような進化・爆発・元素合成をしたか、それが、初代銀河の化学力学進化にどのように寄与してきたかを解明することを目ざす。本研究では、最近の極低金属量の銀河の観測によって、それらの銀河の元素組成が明らかになりつつあり、特に、鉄と酸素の組成比 (Fe/O) が太陽組成比の1.6倍にもなる極低金属銀河の存在に着目した。 2023年度は、観測されたような大量の鉄を生成する超新星として、電子対生成型超新星だけでなく、ガンマ線バーストに付随した極超新星が可能かどうかを調べた。そのために、まず、超新星の親星となる大質量星が電子対生成型不安定を引き起こすに至る進化、及び、重力崩壊に至る進化を、星の質量と金属量の細かい関数として主系列から計算し、それぞれの型の超新星を引き起こす星の質量範囲を求めた。その際、核反応率の不定性が、どの程度、超新星の親星の質量範囲に影響するかを調べた。 これらのモデルを用いて、1次元の爆発モデルを計算した。電子対生成型超新星の場合は、爆発する星の質量が太陽質量(Msun) の300 倍に近いほど大きい場合、鉄の生成量は40 Msun にも上るので、観測を説明する上で十分である。極超新星の場合は、爆発する星の質量が 100 Msun に近く、爆発エネルギーが十分大きい場合、鉄の生成量は10 Msun に達するので、これも観測を説明する上で十分に大きい。従って、鉄の生成量からだけでは、極低金属銀河での超新星の特性は決められないことが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
大質量星の進化は、その構造が低質量の星に比べて単純なので、数値計算が容易である。特に電子対生成不安定を起こすような星は、状態方程式が輻射圧優勢のため単純で、多数のモデルを予測以上に容易に計算できた。 観測的には、重力波が多数観測され、ブラックホールの質量の推定が多数行われた。これにより、電子対生成型と重力崩壊型の極超新星とに分かれる星の質量と、ブラックホールの質量との比較が容易となり、研究の進捗を促すこととなった。
|
今後の研究の推進方策 |
電子対生成型超新星と極超新星のどちらが、低金属銀河の金属源であるかを判定するには、生成される元素の組成比が鍵となる。Fe/O だけでなく、多くの元素組成比の観測データを収集する。理論的には、極超新星のモデルにmixingand fallback モデルを適用して、観測との比較を行う。それと平行して、2次元のジェット状爆発モデル計算を実行していく。
|