研究課題/領域番号 |
23K03453
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小山 翔子 新潟大学, 自然科学系, 助教 (20909759)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ブラックホール / 活動銀河核 / 相対論的ジェット / 超長基線電波干渉計(VLBI) / ガンマ線天体 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙に充満する高エネルギー粒子の生成・放射機構の解明は天文学における課題の1つである。巨大ブラックホール周辺から噴出するジェット、ならびにその最上流に位置する明るくコンパクトな電波中心核はガンマ線放射領域の有力候補である。本研究では最近傍の代表的なTeVガンマ線AGN・Mrk 501に着目し、230GHz帯国際VLBI観測網(EHT)による最高分解能観測と多波長高分解能観測を組み合わせることで、予言されるガンマ線放射領域に初めて肉薄することを目指す。付随するジェットの収束・生成領域を明らかにし、ガンマ線放射領域のサイズや所在の特定、といった重要なテーマに取り組む。
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研究実績の概要 |
主目的天体である代表的なガンマ線天体Mrk501に向けた多波長VLBIデータの解析を進めた。ブラックホール半径の数万倍より下流の領域ではジェットの形状を特定することに成功した。EHTの主要天体であるM87と似たジェットの形状を有していることがわかった。結果は論文にまとめている途中である。複数の国際研究会に参加し、一部報告を行なった。また、研究集会ではEHTで明らかにするMrk501のサイエンスに関しても報告を行ない、研究協力者らと今後の研究方針について話し合った。 2022年に観測された本天体のEHTデータに関しては、相関処理と一次評価を進めている。230GHz帯では、本天体はM87の半分以下の明るさしかないため観測が見送られた過去があるが、近傍の明るい天体を組み込む観測が行われたことで一部のデータからは無事にフリンジが検出されている。数時間に渡る十分な質のデータが取得できており、当初の目標である電波中心核のサイズとフラックスの抽出は可能であると見込んでいる。同時期に行われた多波長観測データについても研究協力者らの協力のもと収集と解析が行われている。 一方、M87については2018年に観測された230GHz帯EHTと86GHz帯GMVAそれぞれの成果を出版した。1年後の独立な2つの観測からもブラックホールシャドウを検出できたことで、ブラックホールが存在するより強固な証拠を得た。数年以内に予定されているEHTのアップグレードによってMrk501は次のブラックホールシャドウ撮影候補天体リストに入っているため、将来研究を展開していく上でも重要な成果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Mrk501の多波長VLBIデータに関しては解析を進め、国際研究会に参加して一部報告を行い、論文としてまとめている。EHTデータに関しては相関処理と一次評価を行なっている。同時期に取得されたVLBI以外の多波長データに関しても研究協力者らの協力のもと、収集と解析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Mrk501のEHTデータは相関処理と一次評価が進められている。今後はデータの一次評価にも自ら参加して分析を行い研究を推進する。一次評価以降の分析や画像化を行う上で新しいツールを習得する必要が生じたため、早急に行う。研究協力者らとの定期的なプロジェクトミーティングを開始する。分担してデータの分析と解析を進め、画像化を行なって電波中心核のサイズやフラックスをはじめとする物理量の抽出を行う。同時期に取得された電波からガンマ線に及ぶ多波長観測データの解析を終える。また、解析済みのVLBIデータによる結果に基づく論文執筆を進めて出版する。
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