研究課題/領域番号 |
23K03460
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 旭川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
大木 平 旭川工業高等専門学校, 電気情報工学科, 助教 (90792078)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 重力波 / 超巨大ブラックホール / 活動銀河核 / 銀河形成 / 銀河進化 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、準解析的銀河形成モデル ν2GC を構築し、世界トップレベルの精度で超巨大ブラックホール (SMBH) の質量関数、またそれをエンジンとする活動銀河核の光度関数・空間相関を理論予言することを可能にした。しかし、SMBHの全貌を明らかにするためには、電磁波観測だけでなく、新たな観測量である重力波観測が必要となる。 本研究では、準解析的銀河形成モデルに基づきSMBH同士からなる連星系からの重力波を理論計算し、重力波検出実験であるパルサータイミングアレイの結果と比較を行う。本研究によって、重力波観測がSMBHと銀河の共進化過程を観測的に明らかにすることが期待される。
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研究実績の概要 |
我々は、スーパーコンピュータ「アテルイII」を用いた宇宙論的N体シミュレーションを用いた準解析的銀河形成モデルν2GC を構築し、銀河と活動銀河核の統計量の精密な理論予言を可能にした。モデルは既存の観測結果をよく説明するものである。しかし、活動銀河核として明るく輝かない状態のブラックホールの宇宙の存在量を検証するためには、活動銀河核とは異なる観測量が必要となる。 本研究では、超巨大ブラックホールが連星をなすときに放出する重力波に着目し、理論モデルを用いて重力波の予測を行う。 超巨大ブラックホール連星の形成は、現在標準的な宇宙モデルである階層的構造形成モデルの自然な帰結として期待されるものである。これらの超巨大ブラックホール連星による重力波の重ね合わせは背景重力波と呼ばれる。この背景重力波は階層的構造形成に基づく銀河形成および超巨大ブラックホール形成過程への重要な制限となる。 折りしも2023年6月に、パルサータイミング観測を行う国際研究チームにより背景重力波の存在が強く示唆され、その振幅が見積もられた。 本研究で我々は、既存の観測量をよく説明する準解析的銀河形成モデルを用いて、超巨大ブラックホール連星からの背景重力波の理論予言を行った。その結果、我々のモデルから得られる重力波振幅は、パルサータイミング観測から示唆される結果よりも0.5 dex 程度低いことが分かった。現在このずれの原因について精査し、超巨大ブラックホールの形成過程について議論している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンプルな超巨大ブラックホール合体のモデルにおいて、背景重力波の理論計算はほぼ終了し、現状のパルサータイミング観測との比較も行っている。 また、ブラックホール合体時のバースト的な重力波放射の振幅、振動数分布の計算もほぼ終了し、将来計画である宇宙重力波望遠鏡LISAの感度曲線との比較も行っている。 現在、モデルパラメータが背景重力波および銀河・活動銀河核統計量にどれほどの影響を及ぼすかの詳細な調査を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
モデルパラメータが背景重力波および銀河・活動銀河核統計量にどれほどの影響を及ぼすかについてまとめたところで論文をまとめる。その後、超巨大ブラックホール連星の形成から連星進化までをより詳細にモデル化し、準解析的モデルに組み込む。新たに構築したモデルから背景重力波を計算し、最新の観測結果と比較することで、銀河形成過程、超巨大ブラックホール形成過程に制限を与える。
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