研究課題/領域番号 |
23K03463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
武藤 恭之 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 准教授 (20633803)
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研究分担者 |
橋本 淳 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), アストロバイオロジーセンター, 特任助教 (20588610)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 原始惑星系円盤 / 電波天文学 / 理論宇宙物理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、様々な原始惑星系円盤の構造を系統的に調べ、惑星形成への示唆を得ることを目的とする。そのために、電波干渉計のデータから、モデルを介さずに非軸対称構造の存在を定量的に抜き出す新たな手法を用い、通常のイメージングで得られるよりも小さなスケールの構造を検出する。この手法を多くの天体に適用することで、円盤の非軸対称構造がどのような傾向で存在しているかを調べる。その結果から、いつ、どのような星の周囲で起こりやすいかについての示唆を得ていく。
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研究実績の概要 |
本研究では、ALMA望遠鏡によって観測された原始惑星系円盤の非軸対称構造を、できる限りバイアスを入れずに解析するための新たな手法を確立し、それを用いて円盤構造の分類を行うことを目標としていた。そして、原始惑星円盤の非軸対称構造が何を意味しているのかを明らかにすることを目標としていた。 2023年度はその一年目として、手法の定式化とコード開発に取り組みつつ、すでに取得されている個別天体のデータ解析等に取り組んだ。研究代表者は、2023年度にライデン天文台での長期滞在を行った。現地の研究者からデータ提供を受け、その扱いや円盤構造に関する議論を深めた。長期滞在においては、ライデン天文台やヨーロッパ南天天文台でセミナーを行ったほか、オランダやアメリカの研究者と直接の議論をすることで、JVLA望遠鏡による原始惑星系円盤の観測提案・採択に繋がった他、原始惑星系円盤の構造およびデータ解析の手法に関する新たな共同研究も開始した。 個別天体の研究成果としては、SY Cha や ZZ Tau IRS 周囲の原始惑星系円盤における傾いた内側円盤の示唆や、CIDA 1 周囲の原始惑星系円盤における成長した塵粒子の存在の示唆などがある。いずれも円盤構造と物理モデルの解析から得られたものであり、今後、本研究課題で目指す解析にも繋がる成果である。 本研究課題では、2023年度中に7件の査読論文が出版されたほか、国際会議発表やセミナー発表などを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原始惑星系円盤の非軸対称構造を、電波干渉計の観測量であるビジビリティの直接解析から導く手法について、その定式化を行なった。特に、電波干渉計の観測ではビジビリティの全ての情報を得ることができないという効果をどのように取り入れるかの検討を詳しく行ったうえで、ビジビリティのレベルでのデコンボリューションの手法を検討し、実装した。また、その定式化をコードとして実装し、様々な観測シミュレーションや実際のデータを使った検証を行なった。おおむね期待していた通りの結果が得られ、今後の開発上の問題点も明らかになってきた。結果は国際会議で発表を行い、論文としてまとめている段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発した解析コードを、多数天体に適用できる形に拡張する。そのうえで、ALMA望遠鏡のアーカイブデータへの適用を進めたい。現在、スパースモデリングを用いた原始惑星系円盤の構造解析に関する論文が出版受理の状態にあり、適用天体についてはその天体をベースにしつつ、これまでの様々なサーベイをもとに選択する予定である。また、本研究およびその関連研究をきっかけとして、干渉計データのイメージング手法の比較に関する国際共同研究が開始されつつある。このような研究を通じて、円盤構造の解析手法に関する理解を深めていく。
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