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高解像数値シミュレーションを用いて連星パラメータの起源を探る

研究課題

研究課題/領域番号 23K03464
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分16010:天文学関連
研究機関法政大学

研究代表者

松本 倫明  法政大学, 人間環境学部, 教授 (60308004)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード星形成 / 連星 / 数値シミュレーション / 磁場 / 適合格子細分化法
研究開始時の研究の概要

恒星の過半数は連星系のメンバーであり、連星系の形成は星形成の主要なモードである。最近はALMAにやGaia衛星によって観測的研究が進む一方で、連星パラメータ(連星間距離、連星軌道の離心率、連星の質量比)がどのように決まるかはわかっておらず、現在は連星系形成の理論的な研究を推進する好機である。
本研究課題では、質量降着する連星の軌道進化を高解像数値シミュレーションで計算し、連星パラメータの起源に迫る。本研究ではとくに磁場に着目する。磁場は角運動量輸送の主要な担い手であり、連星の軌道に大きな影響を与えるからである。さらに従来は技術的な問題で手つかずであった「縦」磁場に着目する。

研究実績の概要

連星の周囲のガスの運動を数値シミュレーションで調べた。数値シミュレーションでは高解像度が必要になるため、適合格子細分化法を用いたコードSFUMATOを用いた。本モデルでは磁場の役割に注目し、磁場は初期に周連星円盤を縦に貫く形状を考えた。
シミュレーションの結果、磁場によって2種類のアウトフローが形成した。第1のアウトフローは各々の連星の周囲の円盤(星周円盤)から放出される2対の高速なアウトフローである。連星の公転運動によって、2対の高速なアウトフローは螺旋状にからまった構造を持つ。第2のアウトフローは連星を取り囲む円盤(周連星円盤)から放出される低速なアウトフローである。このアウトフローは大きな開口角を持ち、高速なアウトフローを取り囲むように放出される。
角運動量の輸送についても調べた。周連星円盤を含む連星の周囲では、連星の重力トルクによる角運動量輸送がもっとも大きな効果を持ち、星への質量降着に大きな影響を与える。一方、連星系から角運動量を抜き去るには磁場による効果が重要である。先述の2種類のアウトフローと磁気回転不安定性(MRI)による角運動量輸送が大きな役割を担う。これらの角運動量輸送により、連星の軌道進化において連星間距離が縮むことが予想される。以上の内容をまとめて論文に投稿した。
観測との比較研究も実施した。原始星系IRAS 04239+2436は三重星と考えられており、ALMA望遠鏡によってストリーマーと呼ばれる数100auの長さのガスの流れが観測された。この観測結果を説明するために、過去の数値シミュレーションを再解析し、さらに新しいシミュレーションも実施した。シミュレーションでは、フィラメント状分子雲から、分子雲コアを経て、三重星が形成された。その結果、IRAS 04239+2436のストリーマーは三重星とエンベロープの重力相互作用によって説明された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

磁場を考慮した連星の周りのガスの運動について、高解像数値シミュレーションを用いて調べた。磁場の効果に着目し、各種アウトフローの形成を再現し、角運動量輸送における磁場の役割について調べた。その結果を論文として投稿し、受理された。

今後の研究の推進方策

これまでのモデルでは連星の軌道は円軌道に固定されていた。今後は、連星の軌道進化も考慮したシミュレーションを実施し、その結果を解析する。連星の軌道進化では、ガスと星との間の重力を考慮するが、ガスの自己重力は無視をする。この新しいモデルによって、磁場が角運動量を輸送して連星間距離が実際に縮まる様子が再現できると期待される。
また、このモデルの成果を、原始連星だけでなく、ブラックホール連星にも拡張する予定である。両者の連星における軌道進化の基本的な力学は共通しているので、本モデルを両者の連星に適用することができる。とくに超巨大ブラックホール連星が合体するときに放出される重力波が最近観測され注目されている。超巨大ブラックホール連星の合体には、連星軌道の進化が大きく影響する。したがって、本研究は超巨大ブラックホール連星の合体しくみの解明に向けて大きく貢献すると期待される。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Seoul National University/KASI(韓国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] National Tsing Hua University(その他の国・地域)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] The University of Texas at Austin(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Triple Spiral Arms of a Triple Protostar System Imaged in Molecular Lines2023

    • 著者名/発表者名
      Lee Jeong-Eun、Matsumoto Tomoaki、Kim Hyun-Jeong、Lee Seokho、Harsono Daniel、Bae Jaehan、Evans II Neal J.、Inutsuka Shu-ichiro、Choi Minho、Tatematsu Ken’ichi、Lee Jae-Joon、Jaffe Daniel
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 953 号: 1 ページ: 82-82

    • DOI

      10.3847/1538-4357/acdd5b

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Formation of Massive and Wide First-star Binaries in Radiation Hydrodynamic Simulations2023

    • 著者名/発表者名
      Sugimura Kazuyuki、Matsumoto Tomoaki、Hosokawa Takashi、Hirano Shingo、Omukai Kazuyuki
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 959 号: 1 ページ: 17-17

    • DOI

      10.3847/1538-4357/ad02fc

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 3D-MHD simulations for binary systems: can the binary separation shrink?2023

    • 著者名/発表者名
      Tomoaki Matsumoto
    • 学会等名
      Protostars and Planets VII
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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