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惑星大気ネオンのその場測定に向けた膜透過によるネオン―アルゴン分離手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K03472
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分17010:宇宙惑星科学関連
研究機関東京大学

研究代表者

三浦 弥生  東京大学, 地震研究所, 准教授 (90282730)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
キーワード火星大気 / ネオン同位体 / 希ガス同位体 / 透過膜 / ポリイミド / 質量分析 / 惑星大気 / 膜分離
研究開始時の研究の概要

惑星大気中に存在する希ガスの元素・同位体組成は、捕獲・脱ガス・散逸などの物理的プロセスの影響を受けて元来の組成から変化するため、起源物質やそれらの現象を制約するのに有用である。
本研究計画では、観測データが限られている惑星大気ネオンに着目し、特に火星大気のその場ネオン計測に向けて測定法の開発を行う。質量分析計を用いたネオン同位体測定においては、妨害元素となるアルゴンを除去する必要がある。そこで、探査機への搭載を念頭に「大気を分離膜に透過させることによりネオンをアルゴンから分離する手法」の確立を目指し実証実験を行う。

研究実績の概要

質量分析計によるネオン同位体測定においては、干渉イオンとなり測定を妨害するアルゴンを除去する必要がある。本研究では、「大気を分離膜に透過させることによりネオンをアルゴンから分離する手法の確立」、および「惑星探査(特に火星探査)条件下における大気ネオン計測システムの仕様案の構築」を目指している。これまでに行っている透過実験により、ポリイミド膜を分離膜として用いて大気を透過させることにより効率的にネオンとアルゴンとを分離できることを見出している。本手法を惑星探査に適用するには、分離能力の温度依存性、機械的強度、環境への耐性の確認、および装置の小型化も必要である。本年度は、メタルガスケットを用いてポリイミド膜(厚さ100μm、面積28cm2)をチタン製フランジに固定して、一旦膜の両側を真空引きした後、大気を40-60分間透過させて透過したヘリウム、ネオン、アルゴン量を四重極型質量分析計にて測定した。いずれの透過実験においても透過後のアルゴン量はバックグランドレベルに近く有意な透過は見られず、透過後のネオン/アルゴン比は高まった。また、室温から-38℃までの温度範囲で透過実験を行い、ポリイミド膜がリークすることなくフランジに保持されること、-38℃でのヘリウム, ネオン透過量は、室温時の1/6, 1/8であること、が明らかになった。ポリイミドを固定したフランジの衝撃試験や振動試験も行い、惑星探査で想定される条件においてはリーク等の問題は発生しなかった。
火星表層大気圧は地球大気圧に比べて約1/150で、大気中のネオン存在度も低いため、火星大気ネオンの測定においては、膜面積を増やすことやアルゴンのバックグランド(測定装置由来のアルゴン)を低減させることが必要であるので、その対応方法を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

透過特性を調べる基礎実験として、ポリイミド膜に地球大気を透過させて透過したネオン、およびヘリウム、アルゴン、二酸化炭素を質量分析計で測定した。同一条件下での透過の再現性、低温下における透過特性の変化、振動や衝撃に対する強度の確認を行った。これまでの実験においては、ポリイミド膜を用いたネオン-アルゴン分離法に大きな問題は見つかっておらず、予想していた透過特性を示す結果が得られている。ポリイミド膜をフランジに固定する方法も試験段階ではあるがこれまでのところ良好である。引き続き、惑星探査に近い条件での透過測定を行う計画である。また、透過測定に用いている実験装置の改良を行うべく準備を進めていて、真空ポンプ、バルブ、配管などの多くは納品済/発注済であるが、一部についてはこれから設計および手配予定である。以上の進捗は概ね当初の研究計画どおりと考えている。

今後の研究の推進方策

これまで行った透過測定は、一例を除いて地球大気を透過させた測定であるので、今後は圧力が低い場合や火星大気を模擬したガスでの透過測定を行っていく計画である。その際に課題となるのは、測定装置のバックグランド(特にネオン、アルゴン、二酸化炭素)を低減させること、そのために探査機搭載用質量分析計を開発するグループとも情報交換を行うこと、火星着陸探査検討コミュニティーに参加し装置開発における制約事項(装置重量、電力量、温度耐性条件など)について情報共有すること、なども必要であると考えている。惑星探査に用いることのできる真空ポンプや真空用バルブの調査も進める。これらの課題を着実に克服していくことが重要である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Curation protocol of Phobos sample returned by Martian Moons eXploration2024

    • 著者名/発表者名
      Fukai R., Usui T., Fujiya W., Takano Y., Bajo K., Beck A., Bonato E., Chabot N. L., Furukawa Y., Genda H., Hibiya Y., Jourdan F., Kleine T., Koike M., Matsuoka M., Miura Y.N., Moynier F., Okazaki R., Russell S.S.、Sumino H., Zolensky M.E., Sugahara H., Tachibana S., Sakamoto K., Abe M., Cho Y., Kuramoto K.
    • 雑誌名

      Meteoritics & Planetary Science

      巻: 59 号: 2 ページ: 321-337

    • DOI

      10.1111/maps.14121

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 火星着陸探査に向けた大気 Ne 同位体測定法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      三浦弥生, 長勇一郎, 黒川宏之, 齋藤義文, 笠原慧, 吉岡和夫, 熊谷英憲, 岩田尚能, 日向輝, 霜越健多, 山﨑敦, 杉田精司
    • 学会等名
      日本地球化学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 火星着陸探査に向けた大気 Ne 同位体測定法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      三浦弥生, 長勇一郎, 黒川宏之, 齋藤義文, 笠原慧, 吉岡和夫, 熊谷英憲, 岩田尚能, 日向輝, 霜越健多, 山﨑敦, 杉田精司
    • 学会等名
      日本質量分析学会同位体比部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 火星衛星探査計画MMXのキュレーション/SAWTの検討状況2023

    • 著者名/発表者名
      臼井寛裕, 深井稜太, 藤谷渉, 高野淑識, 馬上謙一, Beck Andrew, Bonato Enrica, Chabot Nancy, 古川善博, 玄田英典, Jourdan Fred, Kleine Thorsten, 小池みずほ, 松岡萌, 三浦弥生, Moynier Fredric, 岡崎隆司, Russell Sara, Zolensky Michael, 菅原春菜, 橘省吾, 坂本佳奈子, 安部正真, 長勇一郎
    • 学会等名
      第67回宇宙科学技術連合講演会(日本航空宇宙学会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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