• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

探査機による太陽掩蔽観測と地上高分散分光観測から迫る金星微量気体の動態解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K03480
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分17010:宇宙惑星科学関連
研究機関北海道情報大学

研究代表者

佐藤 隆雄  北海道情報大学, 経営情報学部, 准教授 (50633509)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード金星 / 微量大気 / 地上望遠鏡 / 探査機「Venus Express」 / 放射伝達 / 雲層構造 / 探査機「あかつき」 / 太陽掩蔽 / 赤外高分散分光
研究開始時の研究の概要

金星気候システムの解明には,物質の循環(微量気体の動態)把握が欠かせない.しかし,探査機Venus Express(VEX)のSOIR装置による太陽掩蔽観測で得た微量気体の結果には,地上望遠鏡観測や大気化学モデルと不整合があり理解の障壁であった.本研究では,微量気体の時空間変動の統一的理解を目的に,まず,太陽掩蔽観測の従来の解析方法が考慮していない雲の多重散乱を含めた放射伝達モデルを開発し,不整合の原因を究明する.次に,開発したモデルをSOIRデータに適用し,VEX期の微量気体の動態を精査する.さらに,地上望遠鏡による高分散分光観測から雲形成や大気運動の指標となる微量気体の今日の動態を調べる.

研究実績の概要

気候システムは,物質・放射・大気運動といった素過程の相互作用によって決定される.つまり,各素過程の理解が気候システムの解明に繋がると考えている.本研究課題では,素過程の1つである物質の循環(微量気体の動態)把握に着目し,金星探査機「Venus Express」の太陽掩蔽観測データと新たな地上高分散分光観測データから,金星微量気体の時空間変動を明らかにすることを目標としている.Venus Expressの運用が終了した今日では,地上望遠鏡を用いた分光観測が,変動に富む微量気体の時空間変動を調べる唯一の手段である.2023年は金星の東方最大離角(6/4),内合(8/12),西方最大離角(10/24)と観測好期が続いていたため,本年度はハワイのNASA赤外望遠鏡IRTFに搭載されている高分散分光器iSHELL(5月,10月,11月の計23日間)と中分散分光器SpeX(7月,8月の計6日間)を用いて金星大気の分光観測を実施し,特にiSHELLで取得したデータの解析を中心に研究を進めた.幸いにも観測期間を通して天候に恵まれ,地球・金星間のドップラー効果が大きい時期に取得したiSHELLデータは地球大気による吸収と分離した良質なスペクトルとなっている.スペクトルはK,L,Mバンド(波長範囲:2-5ミクロン)を網羅しており,雲の生成・消滅に関与又は大気運動の指標となる微量気体(H2O,HDO,CO,SO2,HCl,OCS)が含まれている.膨大な観測データの校正に一通りの目途がつき,iSHELLのLバンドの観測スペクトルからHClの混合比を導出するために開発した「放射伝達モデルと反転解析プログラム」(Sato et al., 2023)を基にKバンドの観測スペクトルからCOとその同位体の混合比を導出するプログラムを開発している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は,研究代表者や国内外の研究協力者が提出したIRTFへの観測提案が全て採択されたため,想定以上に膨大な金星地上観測データの取得に成功した.一方で,iSHELLを用いた観測では,金星のどの部分にスリットが当たっていたのかを調べる上で重要なスリットビュワーのピクセルスケールが公称値と我々の推定値でずれていた.この問題を解決するためにIRTFの担当者にピクセルスケールの再測定を依頼し評価してもらうまでに数か月を要した.また,Venus Expressの太陽掩蔽観測データに関しては,ベルギーの研究者からデータを共有してもらうことができたが,現状は再解析に向けた放射伝達モデルの開発途上にある.さらに,昨年度終了した「若手研究」以降も,金星探査機「あかつき」の2μmカメラ(IR2)が得た金星昼面における反射太陽光の位相曲線の時間変動について,引き続き解析を進めている.以上から,研究はやや遅れていると考えている.

今後の研究の推進方策

1年目に引き続き,金星大気の高分散分光データから微量気体の空間分布を把握することを継続実施する.優先度が高いのはiSHELLのKバンドで観測した金星昼面の反射太陽光スペクトルから,CO2吸収線を用いて雲層構造を決定し,CO吸収線からCOの同位体(12C16O,13C16O,12C18O)の混合比を導出することである.Sato et al. (2023) で開発したiSHELLのLバンド用の「放射伝達モデルと反転解析プログラム」を基に,KバンドにおけるCOの混合比を導出するプログラムを速やかに完成させて,初期結果を得たいと考えている.Lバンドと異なり,Kバンドは太陽スペクトルの吸収が複雑で解析する波長範囲をどのように限定するか決めるのに時間を要すると推測している.また,Venus Expressの太陽掩蔽観測データに関しては,太陽掩蔽観測に特化した放射伝達モデルと反転解析コードを開発し,地上観測同様,初期結果を早急に得られるようにする.さらに,地球・金星間のドップラー効果が大きい時期である2025年1月と5月にiSHELLを用いた観測を提案し(1月分は提案済み),Venus Express以後の微量気体の緯度依存性,太陽地方時依存性,長期変動の有無を明らかにするデータを取得する.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Periodic Variation of Mesoscale Ultraviolet Contrast at the Cloud Top of Venus2023

    • 著者名/発表者名
      Suda Tomoya、Imamura Takeshi、Lee Yeon Joo、Yamazaki Atsushi、Satoh Takehiko、Sato Takao M.
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Planets

      巻: 128 号: 10

    • DOI

      10.1029/2023je007852

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] A new constraint on HCl abundance at the cloud top of Venus2023

    • 著者名/発表者名
      Takao M. Sato, Hideo Sagawa
    • 学会等名
      2023 International EnVision Venus Science Workshop
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] A follow-up analysis of the Venusian cloud top altiude using Akatsuki IR2 images2023

    • 著者名/発表者名
      Takao M. Sato, Takehiko Satoh
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union Meeting 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Stability and variability of Venusian cloud top altitude from the complete set of dayside images taken by Akatsuki IR22023

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆雄、佐藤毅彦、村上真也
    • 学会等名
      地球電磁気・地球惑星圏学会 2023年秋季年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi