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火星気象衛星によって明らかになる火星ダストストームの発生機構と日周期現象の関係

研究課題

研究課題/領域番号 23K03481
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分17010:宇宙惑星科学関連
研究機関京都産業大学

研究代表者

小郷原 一智  京都産業大学, 理学部, 准教授 (50644853)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
キーワード火星 / ダストストーム / 地方時依存性
研究開始時の研究の概要

2020年に打ち上げられた静止軌道に近い探査機を最大限利用することで,異なる地方時を観測できないという従来の極軌道衛星の欠点を克服し,火星ダストストームの地方時依存性を明らかにする.特定の地方時にもっぱら発生しているのであれば,ダストストームの発生は日周期現象によってコントロールされているということであるし,逆に地方時に関係ないのであれば,日周期より長い何らかの大気現象が重要であるということになる.ダストストームの発生に寄与する大気現象が特定されれば,数値シミュレーションを用いてその実現可能性を検証する.

研究実績の概要

火星低緯度に位置するSolis平原からMarineris峡谷にかけての地域で発生するダストストームを,アラブ首長国連邦の火星探査機HOPEに搭載されたEXIによる観測画像から抽出した.その結果,当該地域では火星北半球の夏から秋にかけて多くのダストストームが発生することが明らかになった.さらに,北半球夏の季節では午後の時間帯に発生することが多いが,北半球秋には午前9時から正午にかけての午前の遅い時間帯に多く発生することが分かった.これらの結果は,1日1回午後2時付近でしか観測できない従来の太陽同期衛星ではなく,異なる地方時を連続的に観測できる赤道軌道衛星であるからこそ明らかにできた新しい事実である.さらに,ダストストームが発生する地方時が季節によって異なるということは,季節によって支配的なダストストーム発生メカニズムが異なるということを意味しており,火星ダストストームの多様性を示唆している.
火星中緯度はEXIの視野の端にあり,空間分解能やデータの時空間カバレッジが悪化するため,中緯度におけるダストストームの地方時依存性は観測的には明らかにできない.しかし,火星大気再解析データと従来のダストストーム観測画像を組み合わせ,ダストストーム発生時に典型的な大気環境を明らかにした.中緯度のArcadia平原においては,移動性擾乱の暖気偏差域(南風偏差域)でダストストームが観測される傾向にあった.後方流跡線解析を行ったところ,やや西の領域で午前中遅い時間帯に発生するか,日没直後の夜間にArcadia平原南部で発生する可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

異なる地方時を連続的に観測できる赤道軌道衛星による観測データを使用するので,注目する地域は必然的に低緯度に限定される.火星低緯度の中でもダストストームが頻繁に観測されるのはSolis平原,Marineris峡谷,Daedalia平原などであるので,2023年度はSolis平原およびMarineris峡谷にかけての比較的広い範囲に注目して,ダストストームを抽出した.その判断が功を奏して,季節によっては統計的に十分な数のダストストームを発見し,ダストストームの発生の地方時依存性を,季節別に示すことができた.当初は複数の地域を確認しなければならない可能性もあったが,最初の地域選択でよい結果を得られた.
Marineris峡谷周辺でダストストームを探索する際,当該峡谷が白化する現象が頻繁に見受けられた.いくつかの先行研究によれば,Marineris峡谷はpuffy dust stormと呼ばれるタイプのダストストームの頻発地域である.発見した白化現象がダストストームであれば,追加でこの現象の発生地方時も調査する必要がある.

今後の研究の推進方策

Solis平原およびMarineris峡谷にかけての比較的広い範囲のダストストームに見られた地方時依存性から,当該地域におけるダストストームのメカニズムを推定する.局地循環の理論や簡単なモデルを使用して候補となる現象を絞る.現段階では,午後にダストストームを発生される現象は対流活動,午前中遅い時間帯にダストストームを発生される現象はnocturnal jetの崩壊,1日潮汐などがあげられる.当該地域に加えて,やや中緯度寄りの地域も含めて他の地域におけるダストストームの検出と発生地方時の記録を継続する.
先行研究やHOPEに搭載されたEMIRSのデータを参照しながら,Marineris峡谷内部で見られた白化現象が本当にダストストームなのか検討する.先行研究では,北半球夏季に観測されたMarineris峡谷の白化はダストストームであると結論付けられているが,EXIのLeve 3データを見ると氷雲の可能性が高い.EMIRSがMarineris峡谷を観測しているときに発生した白化現象を探し出し,ダストなのか氷雲なのか判別することを試みる.もしダストストームであると結論されれば,Solis平原からMarineris峡谷にかけての地域のダストストームと同様,発生地方時を調査する.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] The seasonal variations in frequency of cloud trains associated with mountain lee waves in the Martian northern hemisphere2024

    • 著者名/発表者名
      Kazunori Ogohara, Maaya Ro, Ayana Kanda
    • 学会等名
      COSPAR
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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